濃厚フルーツジュース「Shine & Shine」が注目を集めるその哲学とは?
Shine & Shine(シャイン & シャイン)という香港のジュースメーカーがいま自然派志向の若い女性などを中心に人気を集めている。350ミリ・リットルのボトル入りのフレッシュジュースで、日本ではコンビニ大手のファミリーマートなどで一本400円程度。普通のジュースに比べると値段は少し高めだが、注目を集めるその哲学とは?
創業者はShine and Shine Food Company のロニー・チェン社長だ。1991年、当時勤めていた香港の高級ホテルを脱サラし、会社を設立した。「ボトル一本にフルーツ本来のおいしさをとことん詰め込んで追求したい」というのがチェン氏の狙いだった。製品へのこだわりはシンプルで、おいしいフルーツしか使わないというのが哲学である。 しかしノウハウを身につけるまでが大変だった。フルーツの甘さや酸っぱさ、香りなどを微妙に調整するほか、保存料、安定剤など製品の「日持ち」を長くするための添加物に頼らない方法を確立するまでに時間がかかったという。 試行錯誤を積み重ね、世界各地のフルーツの味と特徴をつかみ、巧みにブレンドしておいしく仕上げるためのノウハウを磨いた。またフレッシュなジュースだけに、セ氏10度以下で保存しないとすぐ変質する。さらに賞味期限も長くない。このためコストを惜しまず、香港の工場での出荷から日本の店頭に至る道のりを、徹底的な温度管理を行うべく冷蔵便で運ぶなどの工夫も行っている。 チェン社長は「それまで誰もやったことがなく、すべて1からのスタートだった。利益を出すまでに様々な苦労もして、正直厳しい時期もあったが、私たちの試みが多くの人に受け入れられた」と語る。 ジュース生産の特徴としては、原材料の味や風味を極力そのまま残す特殊な低温殺菌製法を自社で開発したほか、季節に関係なく常に最高の品質を保つため、ジュースの原料となるフルーツをアメリカ、チリ、イスラエルなど、世界のさまざまな国から厳選して調達する体制も作り上げた。工場内の工程ごとに品質検査を行い、安全性と高品質を確保しているという。 顧客は創業当初からの香港の最高級ホテルのほか、香港の主なスーパーとコンビニが中心で、中国の主要都市にも進出している。日本には2015年3月に上陸し、コンビニやスーパーでの定着を進めている。現在の商品ラインアップは基本的に、グレープフルーツなど4種類。このうちドラゴンフルーツを使った「アップル・ドラゴンフルーツ」は17年夏発売の新製品だ。女性を中心に消費者の支持を広げている。 チェン社長は「今後も日本市場を一歩一歩固めてゆきたい」と意欲を示す。味がよく、健康にもよい本格派の香港発のフルーツジュースが今後どう日本に定着してゆくのか。注目を集めそうだ。 (3Nアソエイエイツ)