「この先、どうなっちゃうんだろう」…愛する夫から駅前ビルを相続した50代女性を襲った〈まさかの事態〉【不動産のプロが解説】
コンビニテナントの入居前日に、叔父が逝去…
別の店舗が入居していた頃から、「社長、ここの1階のテナントさんが出ることがあったら、ぜひ声かけてください」と大手コンビニチェーンからオファーがあり、紘子さんが閉店の準備を始めた際、その話が決まり、コンビニが入居することになった。 叔父の毅さんは大いに喜んでいた。しかし、コンビニが開店する前日に毅さんは倒れて入院、そのまま亡くなった。 叔父さんの所有分は、そのまま娘の初美さんが引き継いだ。 駅前ビルは紘子さんと初美さんが半分ずつ所有することになった。 老朽化が進み、大きな費用がかかる大規模な修繕が必要になってきた。2人は話し合い、ビルを売ってもいい、と決断した。 「お会いして、1~2年かけていろいろな話をしまして、私もあちらも、この先、子どもたちにまた同じような思いをさせるのは嫌なので、ここで終わりにしたいですね、という話になりました」(紘子さん) ビルは入っているテナントによって、売却価格も違ってくる。いいテナントが入ったことで、ビルの価値は上がった。不動産市場も伸びてきていて売却には絶好のタイミングだった。 先祖や家族から受け継いできた不動産を売るには、それだけの理由がある 駅前ビルを売却できたのは、令和4年の8月。売却のタイミングは、数年の時間をかけて、ていねいに見極めた。不動産価格は時期によって変わるが、流れを注意して見ていれば、おおよそは読める。 個人が買える規模ではないが、場所がよいので、不動産業者が手を上げてくれた。結果、読みよりも、かなり上振れした価格で売却できた。 高く売れれば、次のステップも変わってくる。この売却の成功は、亡くなった人たちが応援してくださったのではないか、と紘子さんとも話したことがある。 先祖や家族から受け継いできた不動産は、売るには売る理由がある。売ると決めた以上、より高く売れる可能性を追求することが大切だ。 松本 隆宏 ライフマネジメント株式会社 代表取締役
松本 隆宏