あまりに理不尽…「働いたことがない無職の中年男性」が「元妻からもらったお金」で買った宝くじで当たった「300億円」のゆくえ
宝くじに当選した男が元妻に養われる?
だが、法律も人の自由のための便宜に留まるうちはよいが、逆に不当な結果を生んだり、人の自由を妨害したりする手枷足枷になる場合も多い。 2019年3月にこんなことが起きた。アメリカで、ある中年男性が宝くじを当てて日本円にして300億円という賞金を獲得した。ところが、その男性はこれまでの人生でいっさい働いたことがなく、15年ほど妻の労働で養われ、数ヵ月前に離婚していた。その離婚後に買ったくじで巨万の富を得たのである。 離婚前に夫婦共同で作った財産ではないのだから、法律上はこの300億円は彼が独り占めしてよいことになる。現に彼は、この賞金は自分のものだと記者会見で答えていた。 しかし、それに対して全米から批判の声が上がった。無職の彼は、前妻からもらった金がなければそもそもくじを買えなかっただろう、ずーっと前妻に養われて生きてきたくせに、別れた後で自分だけハッピーになるのはおかしいじゃないか、前妻にも分けてやるべきだ、という批判である。 アメリカでは離婚後、収入の高い方が一定期間、収入の低い元配偶者を金銭的に援助せよという法律があるため、この無職男性は前妻の援助を受けている。離婚後も前妻(そんなに裕福ではない)の援助を受けながら、その中で買ったくじが当たって300億円を我がものにしたのである! たしかに、前妻は損ばかりさせられていて、あんまりだと思える。しかし法律上は、いまだに仕事をしないこの中年男性が300億円を独り占めしてよいのである。その後、この件で全米では男性を支持する側としない側に分かれて論争となった(他人の金の使い方に外野がああだこうだ言ってもしょうがないのだが)。 このように、法律は時に、本当にこれでいいの? という事態をセーフにする場合があるということだ。 さらに連載記事<海外のカジノで賭博をしても捕まらないのに、日本だと逮捕される「驚愕の理由」>では、私たちの常識を根本から疑う方法を解説しています。ぜひご覧ください。
住吉 雅美