比嘉愛未が『作りたい女と食べたい女』から受け取ったこと。「傷ついたりストレスを抱えたりする人が少しでもいなくなった方がいい」
フラットで、調和がとれた現場で作品をつくるということ
―撮影現場もすごく和気藹々とした雰囲気でしょうか? 比嘉:ありがたいことに、全員とまではいかなかったのですが、スタッフさんもほぼ同じチームを揃えていただいて。プレッシャーをかけられることもまったくなく、みんなで「ひさしぶり~!」ってすごく自然に撮影に入れました。 ―以前比嘉さんが「撮影中も『男』や『女』ではなく『個』を大切にしてくれていると感じた」と話しているインタビューを読んで、現場もすごくいい雰囲気なのかなと思いました。 比嘉:例えば現場でも新人のアシスタントの方からベテランの技術者の方まで、性別を問わず幅広い世代の方がいらっしゃるんですが、失礼がない程度に、上下関係がなくフラットにどれだけ人と接することができるかということは、特にすごく意識しています。 それができるようになったら相手にも不快感や威圧感を与えないでしょうし、すごく良い調和ができると思います。合田さんの講習を受けることで、フラットでいるべきだということをより強く感じました。 でも、私ひとりが意識しなくても、いまの『つくたべ』の現場はもともと調和がとれているので、本当にそれはすごく感謝していて。 西野恵未ちゃんとも「ありがたいねぇ~~」って言いながらやっているので、ほんわかいい空気感が流れています。野本さんと春日さんもほっこり系ですけど、演じている私たちの会話もなかなか面白いと思います(笑)。 ―(笑)比嘉さんご自身にも本当に大きな影響を与えている作品ということが伝わってきます。 比嘉:まだまだですけれど、役者人生がもうすぐ18年目になるなかで、現場が愛おしい、楽しい、大好きと思える作品に出会えることは当たり前じゃないなとあらためて思っています。 ありがたいことに、私は朝ドラの連続テレビ小説(『どんど晴れ』)がドラマデビューだったので、またこうして夜ドラの主演というかたちで帰ってこれたのもすごく嬉しいですし、見え方も変わって、あのときの私には想像できなかったことにいま挑めている感覚もあります。 いっぱいいっぱいでも、自分のなかに余裕を持つというか、俯瞰して見ることができないと良いものづくりはできないのかもと最近思っていたんですが、『つくたべ』ではそれをすごく実践できている気がして、何かご縁や意味があってオファーをいただけたのかなと思います。自分の存在が作品や現場をどうやって底上げすることができるのか、そのことを意識できるようになって、少しは成長できたのかもしれないと思っています。
インタビュー・テキスト by 生田綾 / 撮影 by 西田香織