AR対応ナビ ポルシェ「マカンEV」のインテリア初公開 3つのスクリーン、ADASとの統合も
電動マカン AR対応、デジタル中心デザイン
ドイツの自動車メーカーであるポルシェは、コンパクトSUVのマカンで新たに導入するEV版のインテリアを公開した。複数のスクリーンとAR(拡張現実)技術を搭載している。 【写真】ポルシェの人気コンパクトSUVにEV版が初登場【ポルシェ・マカンEVのプロトタイプを写真で見る】 (34枚) マカンのEV版はまだ正式名称が発表されていないが、内燃エンジン搭載の現行型とは異なるプラットフォームを使用する。タイカンと同様、インテリアに新コンセプト「ドライバー・エクスペリエンス」を採用し、直感的な運転操作を目指している。 スクリーンは最大3つ。1つ目は、ステアリングホイールの後ろにある12.6インチのドライバー用ディスプレイで、ナビゲーションとしてアップル・カープレイによる「アップルマップ」とアンドロイド・オートによる「グーグルマップ」が内蔵される。 マカンEVはまた、ポルシェ初のAR対応ヘッドアップディスプレイを搭載する。環境データと車両位置、カメラを使ってリアルタイムの情報を表示することができる。例えば、ナビの矢印が車線上に表示される。 アダプティブクルーズコントロールのような一部の運転支援システムにも対応しており、設定した前方車両との車間距離が道路上にドットで表示される。運転支援システムからの警告もARで表示できるという。 10.9インチのセンタータッチスクリーンはポルシェの最新技術を駆使したとされ、オプションで10.9インチの助手席用ディスプレイも用意されている。助手席の乗者は、インフォテインメントやナビの設定を調整したり、メディアを閲覧したり、TikTokなどのアプリで動画をストリーミング再生したりできる。 ドライバー側からディスプレイが見えないようにする特殊なフィルム技術により、走行中でも使用可能だ。また、テスラと同様に充電中にレースゲームをプレイできるが、ステアリングホイールでゲーム内車両を操作することはできない。
走りにもこだわった高性能EVへ
マカンEVは、新しいPPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)プラットフォームをベースとし、タイカンと同様の永久磁石式電気モーターを2基搭載する。 エネルギー密度と効率を高める「ダブルV」の磁石配置や、シリコン半導体からSiC(シリコンカーバイド)への切り替えなど、大幅な改良が加えられているという。SiCは、モーターのパルスインバータにおけるスイッチング損失(実質的な電力漏れ)を低減できる。 こうした改良により、2基のモーターは最高出力611ps、最大トルク102kg-mを発生させる。ただし、タイカン・ターボSに搭載されている出力とトルクを一時的に引き上げる「オーバーブースト」機能が、マカンEVでも搭載されるかどうかは定かではない。 なお、フロントとリアに1基ずつモーターを搭載する四輪駆動となるが、巡航時にフロントモーターを切り離し、効率性を高めることができるという。 ダイナミクスも重視されており、「パフォーマンス・リアアクスル」の採用により前後重量配分を48:52とし、トラクションを確保している。参考までに、タイカンの重量配分は49:51である。 ポルシェはまた、前後のタイヤ幅の差を現行型より拡大するとしている(マカンGTSでは、フロント265mm幅、リア295mm幅のタイヤを使用)。これは後方に偏った重量に対応するためで、グリップを向上させる狙いがある。 さらに、乗り心地の改善のために2バルブのダンパーを新たに採用し、ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネジメント(PASM)システムによる細かい調整を可能にした。高速走行時には車高を下げ、効率性を高めることもできるだろう。 ステアリングの操舵角は現行のガソリン車より15%増加し、最大5.0度(80km/h以下)の後輪操舵も追加される。上級モデルには、前後トルクベクタリング機能を向上させるために、電子ロック式ディファレンシャルも搭載されるようだ。