韓国大統領、最後まで闘うと表明-国民向け談話で野党を非難
(ブルームバーグ): 韓国の尹錫悦大統領は12日、国民向け談話を発表し、野党が国政をまひさせることを試みていると主張。「非常戒厳」の宣布を巡って自身への非難が強まる中、最後まで闘い続ける考えを表明した。与党「国民の力」の代表はこの日、尹氏の弾劾訴追を支持する考えを示し、大統領は一層苦しい立場に追い込まれている。
尹氏は先週の「非常戒厳」宣布について、国を救い「自由民主主義」を守るためだったと釈明。野党の「反国家」的な動きや北朝鮮寄りの姿勢について国民に知らせ、野党への警告とすることが目的だったとした。
大統領は、巨大野党が支配する国会が「自由民主主義憲政秩序を破壊する怪物となった」と主張。「非常戒厳」は「自由民主主義の憲政秩序の崩壊を防ぎ、国家機能を正常化」するためだったと説明。「弾劾されようが捜査されようが、私はそれに堂々と立ち向かう」とし、「最後の瞬間まで国民と共に闘う」と語った。
大統領談話のテレビ放映に先立ち、国民の力の韓東勲代表は、弾劾訴追が大統領の職務を停止させる唯一の方法だと発言した。
韓国総合株価指数はこの日、一時1.1%上昇。大統領談話が出始めた後は伸び悩み、0.7%高となっているが、先週のような激しい変動は見られなくなった。通貨ウォンは0.1%安。
未来アセット証券のソ・サンヨン研究員は、「国会で弾劾訴追案が可決すれば、政治的不確実性は大幅に軽減される。市場があまり動揺していないのは、それが理由のようだ」と述べた。
尹氏による先週の突然の「非常戒厳」宣布で韓国および同盟諸国に衝撃が走った。わずか数時間で解除されたものの政治的混乱を引き起こし、金融市場の動揺と国民の強い非難を招いた。
7日に行われた1回目の弾劾訴追案の採決では、与党議員の大半が退席したため不成立となった。弾劾訴追案の可決には議員3分の2(200人)以上の賛成が必要。与党から少なくとも8人が賛成に回れば、同案は可決される。