「年収500万円」の会社員。大学生の子どもの「年金保険料」を払うと、税金はいくら安くなる? 税制上のメリットを解説
20歳になると必ず加入する国民年金。令和6年度の年金保険料は1ヶ月あたり1万6980円で、学生にとっては支払いが負担に感じるかもしれません。それでは、もしも子どもの年金保険料を親が支払うと、親の税金は安くなるのでしょうか? 本記事で、親が子どもの国民年金保険料を支払った場合に税金がいくら軽減されるのかをシミュレーションします。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
子どもの年金保険料を親が支払っても良いの?
子どもの国民年金保険料を親が支払うと、税制上で2つのメリットがあります。年末調整や確定申告で、所得税の「社会保険料控除」として支払った年金保険料の全額を申請できるので、親の所得税と住民税負担が軽くなる効果があります。 そして、「生活費や教育費として、必要なときに直接これらにあてるためのお金」にあたるので、子どもへの贈与税もかかりません。
国民年金保険料を払っている学生は、どのくらいいる?
厚生労働省が令和4年に発表した「国民年金被保険者実態調査」によると、令和2年の調査時点での国民年金保険料納付者(第1号被保険者)全体のうち学生は21.1%で、学生で納付している人は24.5%、学生納付特例者は63.9%、滞納者は9%でした。 国立大学の授業料は法令によって標準額(年間53万5800円)と上限額(標準額の120%まで)が決められており、令和6年度から授業料を上限額64万2960円(10万7160円増)に引き上げる大学も出てきています。 なお、文部科学省「令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額の調査結果について」によると、私立大学の授業料の平均は約93万943円です。国公立、私立にかかわらず学費による家計負担を軽減するために子どもの国民年金保険料を支払い、親の税負担を減らすことは有効と言えるでしょう。
世帯主の年収500万円の場合、税金はいくら安くなりそう?
子どもの国民年金保険料を支払うことによって、親の税負担はどのくらいになるのでしょうか。所得税見込額を試算します(住民税は自治体によって異なるため、試算に入れていません)。 <試算> 世帯主Aさんの年収500万円、扶養している配偶者と20歳の子ども1人の場合 <子どもの年金保険料を支払わない場合の所得税額> 年収500万円-給与所得控除144万円=給与所得控除の金額356万円 356万円-(基礎控除48万円+配偶者控除38万円+扶養控除63万円+世帯主の社会保険料控除76万5048円)=課税される所得金額130万4952円 130万4952円×所得税率5%-所得税控除0円=所得税額6万5247円 <子どもの年金保険料を支払った場合の所得税額> 子どもの年金保険料月額1万6980円×12ヶ月=社会保険料控除20万3760円 年収500万円-給与所得控除144万円=給与所得控除の金額356万円 356万円-(基礎控除48万円+配偶者控除38万円+扶養控除63万円+世帯主の社会保険料控除76万5048円+子どもの社会保険料控除20万3760円)=課税される所得金額110万1192円 110万1192円×所得税率5%-所得税控除0円=所得税額約5万5059円 このように、年金保険料を支払ったほうが所得税率は低くなり、所得税は約1万187円安くなる試算になりました。