ニンジン生産に転換 JA福光、稲作中心から「コメじゃ食えない」高収益を期待
米作りに特化していた南砺市福光地域で、JA福光が稲作の面積を削り、高収益を期待できるニンジンの生産に転換する旗を振っている。衛星利用測位システム(GPS)を搭載した最新播種(はしゅ)機械や収穫機を活用し、労力をかけない農業を目指す。「コメじゃ食えない」。農家の嘆き節が長年続いてきた中、JAは伝統的な栽培品目ではないニンジンに目を付け、元水田を活用して大規模産地に育てる目標を持つ。 JA福光管内では今月上旬からニンジンの播種が始まった。今年は昨年よりも生産面積が増えて約10ヘクタールに達し、販売額は2千万円の大台に乗る見通しとなった。 ●GPS機械で省力化 最新の播種機は運転者の熟練度に寄らず、GPSを利用して直進する。従来機では運転者以外に補助者1人が播種の状況をチェックする必要があったが、運転者のみで作業できる。 JA福光がニンジンの生産振興を始めたのは2019(令和元)年。ブランド化の夢を描き「福光にんじん生産組合」を設立した。県の支援を得て、畝を作って種をまき、肥料も入れる最新播種機3台や収穫機3台を購入した。 ニンジンは播種や収穫などの作業が稲作の繁忙期と重ならず、機械で大規模生産できる点でもメリットがある。農家の高齢化で省力化や費用対効果が高い農業への転換が不可欠で、ニンジンが最適と判断した。 福光では従来、野菜ではカブが最も作られ、アスパラガスやブロッコリーが続き、ニンジンはほとんど出荷されていなかった。しかし、ニンジンの産地化に動いた19年以降、生産量が順調に増え、昨年の販売額はカブを抜いて1400万円となり、1位になった。 JA福光の担当者は「ニンジンの産地化は農業経営の安定につながる。加工品の開発も進め、福光にんじんの知名度を上げていきたい」と話した。