「最も炎上した映画は?」世界から批判殺到の過激作(1)あまりにも凄惨すぎて…物議を醸した女の復讐劇とは?
映画は万人が楽しめる娯楽の王様である。一方、影響力が強すぎるため、世間の規範から外れた作品に対しては、上映中止を求める抗議運動が吹き荒れたりする。今回は、タブーを踏み越えてしまったがために、世界各国で上映が禁止された問題作を紹介。露骨な性描写で物議を醸した作品から宗教上の理由でバッシングを受けた映画まで幅広くセレクト。今回は第1回。(文・寺島武志)
『発情アニマル』(1978)
原題:I Spit on Your Grave 製作国:アメリカ 監督・脚本:メイル・ザルチ 製作:ジョセフ・ズビーダ キャスト:カミール・キートン、アーロン・タボール、リチャード・ペイス、アンソニー・ニコルズ、ガンター・クリーマン 【作品内容】 ニューヨークに住む小説家のジェニファー・ヒルズ(カミール・キートン)は小説を書くために湖のほとりの別荘に向かう。そこに待ち受けていたのが、地元の不良グループだった。 4人がかりで代わる代わるジェニファーを暴行する。屈辱に燃えるジェニファーは、彼らを独り残らず殺害することを誓い、教会で許しを乞うのだが…。 【注目ポイント】 避暑地に小説を書きに来た小説家の女性が、地元の男たちに何度も暴行されたことに逆上し、加害者を次々と惨殺するという1977年に実際に起こった事件を基に製作された凄絶な復讐劇。 男性の象徴を切り落としたり、モーターボートのスクリューに巻き込みズタズタにするなど、そのリベンジ劇の描写があまりにも過激で、日本では当初『サマータイム』というタイトルで一般公開される予定だったが、『発情アニマル』というタイトルに差し替えられてピンク映画として公開された。 その後、テレビ放送の際には『女の日』というタイトルになり、ソフト化された際には『悪魔のえじき』と、再度のタイトル変更を余儀なくされた。 イスラエル系アメリカ人のメイア・ザルキ監督の長編映画デビュー作だったが、公開当時は物議を醸し、さまざまな国で検閲を受けた。しかしながら、2010年にリメイク版が製作されたカルトムービーだ。 一世を風靡した喜劇役者バスター・キートンの姪であるカミールの熱演が光り、公開翌年の1979年に、この2人は結婚。そして、リメイク版が話題を呼んだことで、公開から33年後の2011年には、オリジナル版が劇場公開されるに至り。2013年、2015年と続編も製作された。
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