小林製薬“紅麹ショック”で株価急落も「新NISA購入ランキング4位」の謎。投資のプロはこう見る
紅麹問題で揺れる小林製薬
順調な資産運用の中で、厄介な銘柄もある。ひとつがエーザイ(4523)だ。 ご存知のように、認知症、アルツハイマーに関する画期的な新薬を開発。日米などで承認を受けたものの、会社の業績は伸び悩み、それとともに膨れ上がった投資家の期待は萎み株価は低迷中。 株主総会での説明を聞いたところによると、ほかの新薬と違い、投薬までに非常に専門的で時間のかかる検査をしなくてはならず、それに対応できる医師などの育成が必要で、それに一定の時間が必要とのこと。世界的な需要はある新薬なので、下がったところでは、買い増ししている。次の決算はどうなるか楽しみにしている。 もう一つが小林製薬(4967)だ。 ご存知のように紅麹問題でストップ安。元々2020年秋から冬にかけて1万2000円を上回る株価から、長期的に下げトレンドの流れにあった。6000円を少し上回るあたりで売買されていたところで、紅麹問題が発表され翌営業日にはストップ安。翌々日には4700円の最安値までつけた。 ところがその後、この記事を書いている4月4日までは連日底値を切り上げながらの上昇トレンドにある。特に4月に入り日経平均やTOPIXが大きく下げる局面でもジワリと上がっていく。
成長性はなくとも財務は鉄壁の会社
小林製薬は売り上げの25%を海外で稼ぐ。特にアメリカと中国だ。 主力製品は使い捨てカイロだという。そのほかの主力製品もトイレの芳香剤を始めとして生活密着型の商品が多く、製薬会社でありながら、薬そのものの売り上げは4分の1くらいに過ぎない。 すでに日本全国に広く普及した人気の定番商品が多いからか、安定性の高い王道商品が事業のメインにある。そのため国内では成長性が期待できるわけではないが、確実に利益を上げてくれる。余剰資金に恵まれ、自己資本比率は高く、有利子負債は少ない財務鉄壁な会社でもある。 もちろん、今回の紅麹問題が経営に与える影響は未だ見通すことはできない。 また、紅麹製品の健康被害も、それが、被害を訴えている人たちの健康状態に与えた影響がどれほどなのかという科学的な因果関係が確定したと言えるのだろうか。 一部メディアの報道は過熱しているが、企業としては疑わしきものや消費者の信頼を失った商品は販売しない。それもあっての自己回収なのかもしれない。