<ボクシング>リゴンドーを2度倒した勇気のボクサー、天笠が再び世界戦挑戦計画
天笠の試合は何度も後楽園ホールで観戦して、ボクシング通でもある太田市の清水聖義市長から「チャンネルを回したら内山高志さん(WBA世界Sフェザー級王者)のパンチは、ガツンと硬そうで、天笠君のパンチとは違っていた。あなたのパンチはオープンで流れている。もっとガツンと行かないと」と技術的な檄を飛ばされると天笠は「次は修正したい」と頷いた。 「ボクシングのスキルでは、すべてリゴンドーより下回っていました。優位な部分は体格くらいでしたが、気持ちがあれば奇跡を起こせることを見せたかったんです。そこが悔しいんです。またやれと言われるなら、またやらせてもらえるなら、ぜひ(リゴンドーと)やりたい。一度やった相手を分析して、ああだ、こうだは得意な部分です。今度こそ倒します」 日本タイトル、東洋タイトルを腰に巻いたが、コアなファン以外にはほぼ無名に近かった天笠が、結局、年末に行われた8つの世界タイトル戦の中で一番の視聴率を稼いだ。その壮絶なファイトは人々の共感を呼び、知名度は一気にアップ。これまで世界戦のできなかった男に、再び世界戦のチャンスが浮上している。IBF世界フェザー級王者、イフジェニー・グラドビッチ(ロシア)との世界戦だ。5月か6月に3階級制覇を狙っている井岡一翔(井岡)の世界戦のセミファイナルでダブル世界戦として計画されているものだ。 清水市長から「次は弱い世界チャンピオンとやって勝ってくれ。35歳くらいまでチャンピオンでいてくれるとうれしいな」と言われると天笠は、苦笑いを浮かべた。 「世界のベルトは考えてもみませんでした。今回は、世界戦をやったという感覚でなく怪物退治という感じでした。フェザー級のIBFチャンピオンはロシア人ですよね? スーパーバンタムに落とすとパワーに欠けるという感じがしました。次はフェザーでやりたいしナチュラルなウェイトでやらせてもらえるなら、ぜひお願いしたいです」 史上最高の番狂わせを起こしかけた勇気のボクサーは、早ければ16日にも故郷の群馬太田でロードワークを再開する予定だという。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)