<ボクシング>リゴンドーを2度倒した勇気のボクサー、天笠が再び世界戦挑戦計画
大晦日に世界最強男と激闘を演じたIBF世界フェザー級3位の天笠尚(29歳、山上)が15日、群馬の太田市役所を表敬訪問、同場所で復帰会見を行った。無敗のWBA、WBO世界Sバンタム級統一王者のギジェルモ・リゴンドー(キューバ)から2度のダウンを奪う大善戦を演じた天笠は、顔が変形するほど殴られたが、試合のダメージもなく逆に知名度を上げたためIBF世界フェザー級王者との世界戦が浮上している。
故郷の太田市役所を表明訪問した天笠を多くの市民と職員が拍手で迎えた。 「試合では負けたのに……。まさかの評価をいただけて光栄です」 すっかり元の顔に戻った。大晦日決戦で、リゴンドーから2度のダウンを奪いながら、逆転TKO負け。左頬と右目上付近が大きく腫れて、まるでハリウッド映画の特殊メイクのように顔面が変形し、11回終了後、レフェリーストップとなった。精密検査の結果「顔面打撲」の診断を下され、骨や脳には異常がなかったが5日ほどで腫れは引いたという。 「まるでハンマーで殴られたようなパンチでした。あんな強いパンチは初めて。動きやスピードは想定内でしたが、あのパンチだけは想定外でした。腫れてめちゃ痛かったですが、骨は折れていないと思っていたんです。折れると音がしますから(笑)。ダウンを喫したパンチは見えませんでした。頬が腫れたパンチは、当たった角度が悪かったんでしょうね。でも滅多打ちされたわけでもなくダメージはありません。最後は止められましたが、最後までやりたかったんです」 初回にボディに受けたパンチの衝撃に戸惑ったが、「下がっては負け」と天笠は勇気を失わなかった。 「ほとんどの人が何ラウンドで終わるんだ?という話をしていたので、逆に気楽でした。目にもの見せてやるという気持ちがモチベーションにもなりましたから」 8回には振り返りざまの「相手の死角に入ったところから打つ」右ストレートでリゴンドーから、まさかのダウンを奪った。この回、さらにクリンチをふりほどく際にスリップ気味に2度目のダウン。右フックも当たって、一度は、奇跡を起こしかけた。 「イメージ通りのダウンでした。足がふらついていたし効いていたと思います。でも倒した後に喜び過ぎましたね。そこは反省です。あのパンチは大ダメージを与えるパンチではなかったので、あそこで終わるとは思っていなかったんです。ダウンをとったくらいで勝てるとは思ってませんでした。あそこで終わらせるべきでしたが、相手がカウンターを狙っているのがわかっていたので警戒をしすぎました。リゴンドーは自分を知っていますね。頭がいいんです。彼がアメリカで人気のないのがよくわかりました。あのパンチを警戒して相手も攻められないんですよ」 ガードを高く上げる、これまでとはまったく違うディフェンス重視スタイルで臨んだ。「ガードを上げておかないと間に合わない」と準備を万全にした戦略だった。 「足を踏む」「クリンチ際のパンチ」という反則スレスレの奥の手まで用意をしていたが、「リゴンドーが紳士にクリーンファイトを挑んできたので」使わなかったという。