三菱マ、子会社検査データ不正最終報告(全文1)企業風土の抜本的な改革必須
ダイヤメット社に関する弁護士事務所による調査報告書の概要と特別調査委員会の見解
次にダイヤメット社に関する弁護士事務所による調査報告書の概要と特別調査委員会の見解をご説明申し上げます。ダイヤメット社の新潟工場においては2016年8月ごろに不適切行為が行われていることを認識し、事実調査と原因究明を実施し、再発防止策が策定、実施されておりました。しかし、本年1月に弊社の社員相談窓口に通報があり、不適切行為が継続していることが判明いたしました。2017年1月ごろにはダイヤメット社の経営陣はこの事実を認識しておりましたが、同社内のみで対応する方針を取ったことが確認されております。 問題の原因として次の6点が指摘されております。すなわち、1、工程能力を超える仕様で受注、量産化していたこと。2、顧客仕様を満たす製品を製造する工程能力が低下していたこと。3、品質保証体制の仕組みに不備があったこと。4、検査人員、検査設備の不足。5、納期のプレッシャーや他部門から検査部門に対するプレッシャー。6、品質に対する意識の希薄化でございます。特別調査委員会の見解は次のとおりでございます。 すなわち、ダイヤメット社は利益確保のため工程能力を超えた製品を受注し、これによる不適合品対応のための追加コスト発生により、業績悪化を招くという悪循環に陥っていた。さらに日々の製品供給に忙殺されて工程能力確保等の本質的な改善や、部門間の適切な意思疎通がなされない状態に陥り、この状況の中、品質に対する意識が希薄化し、不適切行為が長期間継続したと考えられること。再発防止策の実施に当たっては、受注に見合った工程能力を確保するとともに、経営陣から従業員にいたるまで品質に対する意識改革を、さらに徹底する必要があること。ダイヤメット社の前社長、および常勤取締役が今回の事案を認識した以降も、不適合品の出荷継続を容認していた点については、製造業の経営者として必要不可欠な品質に関するリスク感度に欠けていたと言わざるを得ず、相当の処分をすべきであること。ダイヤメット社は調査報告書に記載された調査結果を真摯に受け止め、同種の問題を再発させないよう再発防止策を早急に実施するべきであること。 また弊社も親会社として、2017年3月以降に再発防止策を実行させていた中で不適切行為が継続していた事実を重く受け止め、グループ内部統制上、必要な措置を講じ、ダイヤメット社をして、再発防止策を速やかに実行させるべきであること、以上のとおりでございます。なお、ダイヤメット社の再発防止策等につきましては、後ほどダイヤメット社よりご説明申し上げたいと存じます。このほか、特別調査委員会からは、グループガバナンス体制強化策と、臨時品質監査についても見解が述べられておりますが、これらは弊社の状況のご説明の中で触れさせていただきたいと存じます。