<飛躍!今年こそ・健大高崎2021センバツ>/下 投手陣、着実に成長 昨秋の快進撃支える /群馬
◇内外野の守備陣には課題 昨秋の県大会と関東大会では、強力打線が光った。しかし、この間の投手陣の成長が、快進撃を支えたことも見逃せない。 新チーム始動直後の投手陣は安定感を欠いていた。県大会3回戦の高崎商戦では、初回から打線が奮起して得点を重ねたものの、投手陣が9安打を許し、8―6で辛勝する展開となった。しかし、前橋商との決勝で、一つの勝ちパターンができ上がる。本来は左翼手の野中駿哉(2年)を先発に起用し、高松将斗(同)が継投することで、相手打線を5安打無失点に抑えた。 関東大会では野中が20回を投げて防御率1・35、高松が11回で防御率0・82と好投し、準決勝の専大松戸(千葉)戦では10安打を浴びながら、要所を締めて失点を2に抑えた。 野中はややぶれる直球や、制球力を武器に、凡打の山を築く。県大会決勝後、青柳博文監督は「大崩れすることがなく、今のところ野中の先発が一番良い」と評価した。 高松は最速137キロの直球にスライダーを織り交ぜた、気迫のこもったピッチングが特徴だ。「ピンチを気合に変える選手」(青柳監督)として、関東大会からはエースナンバーを託された。 ただ、赤堀佳敬コーチは、投手陣の序列は「横一線」と見る。野中、高松のほかに、最速140キロ超の本格派右腕、今仲泰一(2年)がいる。昨秋はけがで県大会2試合のみの登板だったが、春での復活が期待される。 投手陣が着実に成長する一方、内外野の守備陣には課題が残る。昨秋の県大会、関東大会での失策は計11。関東大会決勝の常総学院(茨城)戦では七回に失策や野選が重なり、一挙5点を失う場面もあった。健大高崎出身の小谷魁星コーチは「守備が下手なわけではないが、もっと確実にアウトを取ることが重要」と指摘する。 そのため、昨年12月以降は、キャッチボールや正面のゴロの捕球などの基礎練習を繰り返している。また、選手の守備位置を入れ替え、全ポジションを経験する練習も取り入れた。小谷コーチによると、この練習によって「守備の動きの幅を広げ、より確実に打球を処理ができるようになる」という。 センバツ出場の知らせを受けた1月29日、主将の小沢周平(2年)は「冬の練習は全てセンバツのため。やっとスタートラインに立てた」と語った。悲願の全国制覇に向け、チームの強化は続く。【川地隆史】