「図解と文章の」伝達力の違いを“図解”してみる、1度で理解できないような文章は「悪文」である
図解は、「全体の構造と部分同士の関係」を表現することを主眼としています。対象の全体の構造がわかる。全体と部分の関係がわかる。全体を構成している部分と他の部分との関係がわかる。それが「見える」ということでしょう。 表やグラフの多用や、簡単なパターン化した図などを「見える化」と呼んでいるようですが、文章だけよりは進んでいるとは思いますが、十分ではありません。また、絵や動画などを使うと、イメージが鮮明にわかるという面はありますが、「構造や関係」は曖昧になってしまいます。
私たちは、「全体の構造」と「部分同士の関係」を見える化することによって、「腑に落ちる」という深い理解に達することができるのです。 ■「文章」「箇条書き」「図解」の違いを知る 文章は最後まで読まないと全体像がつかめません。一方、図解は、ものごとを素早く簡単に理解できます。図解を使った説明は、文章よりも容易に頭に入ってきます。 まずは、下図①の文章を読んでみてください。 それほど難解な文章ではありませんが、理解するのに多少の時間がかかるでしょう。文章は、最後まで読まないと全体像がつかめないのです。
■さまざまな物事の関係性が見えてくる「図解」 ①文章の場合 出来事がすべて文字ベースで語られていると、強調点や時系列がわかりにくく、読み解くのに時間がかかってしまいます。 ②箇条書きの場合 では、箇条書きにするとどうなるでしょうか。それが、図②のメモですが、こちらもわかりやすい説明とはいえません。たんにキーワードを羅列しているだけで、各項目の関係性や時系列が明らかにならないからです。 ③図解の場合 そこで、図解の登場です。図の③を見てみましょう。まず目に入るのが、二重マルで囲まれた「10%カットに成功」という情報です。図解にすれば、このように強調すべき事柄を目立たせることができます。
そのほか、目標達成のプロセスが瞬時にわかるのみならず、総務部・株主・一般会員・取引先など関係者同士の構図もすぐにつかめます。つまり、図解とは、重要性や関係性や時系列を含む「ものごとの構造と関係を表現する技術」なのです。 ■図を描くことで「描き手」の理解も深まる そのメリットは「読み手にとってわかりやすい」ことだけではありません。「描き手」の理解力も高まるのです。自分なりに構図を考えながら図解を描いていると、自分がどこまで内容を把握しているのかが明確になります。