「同僚のにおいで仕事に集中できない」 人事評価反映も、企業で進むスメハラ対策
体質が要因となることもあり、企業も踏み込んだ対応が難しい。大阪市で飲食店などを経営する男性(54)は「社員から部下の女性のにおいについて相談を受けたことがあるが、指摘しづらく対応がおざなりになったことがある」と話す。
ただ、こうした事情ばかりではなく、たばこのにおいや香水などは個人が気をつけることで改善できる。帯刀氏は「本人に落ち度がある場合はまだ対策ができる。ただ、就業環境が害されるほどのにおいと判断するのは難しく、対応に画一的なものはない」とした。(清水更沙)
■安全配慮義務として対応を 金子雅臣・職場のハラスメント研究所長
汗をかく夏場になると周囲のにおいがより気になり、スメハラ問題がたびたび話題に上がるが、セクハラやパワハラと同様に扱うのは難しく、どちらかといえばエチケットマナーに近いものだ。においの感じ方は人それぞれで受け取り方に個人の差がある場合もある。例えば柔軟剤のにおいが一切だめという人もいればそうでない人もいる。法律で定義をつくり、規制するところまではいかないだろう。
このため困っている人がいても言いだしにくいのが現状だ。ただ、においの中には周囲が耐えられないほどひどく、心身に影響を与え、業務に支障をきたす深刻なものもある。この場合は「何となく不快」とは切り分けて考えなければならず、職場の安全配慮義務に関わる問題となる。職場に危険な場所があり、社員がけがをする可能性があれば対処するのと同じことで、訴えがあれば対応しなければならない。
本人に注意する際は客観的な事実に基づいた業務上の理由が必要だ。周囲に人がいるところではなく、相手を傷つけないような言い回しで自覚を促す配慮が求められる。