村田の不可解判定負けは「無効試合にすべき」と世界的プロモーターが主張
ロンドン五輪金メダリストの村田諒太(31、帝拳)が不可解な判定で、アッサン・エンダム(33、フランス)に敗れたWBA世界ミドル級タイトルマッチの波紋が世界中に広がっている。海外メディアもこの問題を続報しているが、1980年代からマービン・ハグラー、オスカー・デラホーヤ、マニー・パッキャオなど数多くの名ボクサーをプロモートとしてきた世界的プロモーターで、帝拳と提携して村田をサポートしているトップランク社のボブ・アラム氏は、ボクシングの専門サイト「BoxingScene.com」の取材に答えて、この試合をノーコンテスト(無効試合)にすべきだと主張した。 「WBAは、エンダムにリマッチの権限を与えると言っているが、そうすればエンダムにこのWBAミドル級タイトルを保持させることになる。WBAは、この試合を無効試合とするべきなのだ。どうして明らかに敗れたエンダムに大金が入るようなことをする必要があるのか」 WBAのメンドーサ会長は、WBAのチャンピオンシップ委員会に再戦を指令しているが、まだチャンピオンシップ委員会は開かれておらず、トップランク社の関係者は、「信じられないスキャンダルだ。天の声がした可能性がある。エンダムの背後に誰がいたかを調べないといけない。大目にみても2ラウンドしかエンダムは獲得していないだろう」とまで激怒している。 過去には、2015年に同じく帝拳所属の粟生隆寛がライムンド・ベルトラン(メキシコ)と戦ったWBO世界ライト級王座決定戦が、ベルトランの禁止薬物の使用が試合後、明らかになったため無効試合とされたが、明らかな不正などが判明しない限り、疑惑判定が理由に無効試合にされるケースはない。 またアラム氏は、この試合の判定を「パッキャオーブラッドリーの第一戦より最悪の判定」と表現した。 「ボクシング史上最悪判定のひとつ」とされているのが、2012年6月にラスベガスで行われたWBO世界ウェルター級タイトルマッチ、マニー・パッキャオ 対 ティモシー・ブラッドリー戦だ。この試合、パッキャオが序盤から中盤にかけて試合を支配したが、1-2のスプリットテジションで敗れて場内が騒然となった。終盤にだけブラッドリーが反撃したが、手数も有効打もパッキャオが圧倒していた試合で、専門誌や放映したHBOの解説者の採点は、すべてパッキャオを支持するなど「史上最悪の判定」「不可解判定」と報じられた。 後日、WBOは、この試合をビデオで検証してパッキャオの判定勝利を確認したが、判定は覆ることがなくパッキャオは、2試合を戦った後の、2年後の2014年4月に再戦。3-0で判定勝利して王座に返り咲いた。パッキャオとブラッドリーは2016年4月に、パッキャオの引退試合として、3度目のラバーマッチを行い、パッキャオが3-0で判定勝利している(パッキャオはその後現役復帰)。