キング・オブ・黒毛和牛「宮崎牛」を本場で堪能!
いくら肥育農家がエサをたくさん食べさせて大きな牛に育てようとしても、そもそも胃腸が丈夫でないとうまく育たないという。 「子牛のうちに、質のいいエサをしっかり食べさせて、丈夫な胃腸をつくっておくことが大事。土台が大切なのです」 蓑毛家の牛は、成牛も子牛もみんな性格が穏やか。「牛は飼い主の状態を察知するため、夫婦仲や家族仲がいいと安定する」と聞いて、思わず納得してしまった。2人の跡取りに恵まれている宮崎牛肥育のレジェンド、稔治さんは、子育てにも成功しているようだ。
たっぷりの愛情と飼料を与えられて育つ、世界最高峰の和牛。普段、あまり深く考えずに言っている「いただきます」は、命をいただくことへの感謝であり、生産者の方々への感謝でもあるのだった、ということを思い知らされた。
セレブも唸る、伝説の「宮崎牛第一指定店」
2月、温暖な宮崎にキャンプに訪れるプロ野球選手やJリーガー、プロゴルファーたちがこぞって訪れる「焼肉の幸加園」は、宮崎牛専門の焼き肉店。1987年に「宮崎牛第一指定店」として認証されて以来、そのおいしさを県内外の訪問者たちに広めてきた。 奥の座敷は掘りごたつ式で、田舎のおばあちゃんの家に遊びにきたようなホッとする雰囲気。さっそく、塩タン、上カルビ、上ロース、サガリ、焼きしゃぶ、ホルモン、ミノ、ハツにキムチの盛り合わせとサンチュがセットになった「スペシャルコース」を注文する。
分厚い塩タンから肉汁とろける上カルビや上ロース、臭みのまったくないプリプリのホルモンと、大満足の内容。まさに宮崎牛のおいしさを、あますことなく味わえるスペシャルなコースだった。ボリュームもかなりのもので、これで6800円とはお値打ちすぎる! 都心だったら、倍の価格でも食べられないであろうクオリティと量だった。
もちろんもっとリーズナブルなメニューもあり、地元の焼酎メーカーによるクラフトビールも豊富。最後には甘酸っぱくジューシーな柑橘「日向夏」が出され、口の中が一気にさわやかに! 世界最高ランクの宮崎牛の実力を、ぜひ地元の名店で確かめてみてほしい。 text &photo:萩原はるな