【分析】レッドブルは2024年マシンRB20が抱える問題の、決定的な証拠を見つけたのか?
レッドブルに必要なのは問題の対処だけじゃない
変更の規模が大きいことから、もし間違った方向転換を引き起こしたのがひとつのコンポーネントだった場合、それが何なのかを突き止めるのはかなり難しいだろうということは明らかだ。 レッドブルにとっても、現在の状況はかなり新しい領域であるようだ。過去3シーズン、大きな問題……ライバルチームが直面していたような問題に悩まされたことはほとんどなかったからだ。開発の成功率は比較的良好で、ほぼ予想通りの結果が出ていた。 つまり現時点での課題は、現在の問題に対処する方法を学ぶ必要があるというだけでなく、将来同じ問題を再度引き起こさないよう、それがなぜ起きたのかを理解する必要もあるということだ。そして今最も重要なのは、どのツールが信頼できるのかを、見極めることである。 ホーナー代表は、次のように語っている。 「マシンに何か不具合があると、シミュレーションツールから異なる値が得られ、それが収束しないのは珍しいことではない。その場合、CFD、風洞、実走の3つのデータセットが得られるということになる」 「もちろん、本当に重要なのはコース上を実際に走った時のデータだ。その開発は、3つの異なる時計で時間を確認するのと同じことだ。そしてその中で最も価値のある情報を提供してくれるツールに集中する必要がある。もちろん、コース上を走った時のデータが最も信頼性がある」 大きな問題は、レッドブルが答えを導き出すためにどのくらいの時間がかかるかということだろう。そして、そのためにファクトリーで行なわれた、または現在進行中の開発作業のうちどれだけを放棄する必要があるのかということも重要になってくる。 他のチームに起きたことと同様、この問題に対処するために時間を費やさねばならないということの影響度は、特に深刻である。しかも今のレッドブルは、古いパーツのデータを収集することに労力を費やしている。それは、チームがより迅速に改善を提供することに集中していないということを意味している。 しかもライバルチームは上昇傾向にある。そのため、彼らとのパフォーマンス差はすぐに拡大してしまう可能性があるし、今シーズンだけでなく今後にもその影響が尾を引く可能性すらある。 またあまり注目されていないことではあるが、一部のサーキットに合わせて、ピレリがタイヤの最低内圧を引き上げたことも、レッドブルの苦戦に拍車をかけている可能性がある。 苦戦の本質的な原因が機械的なものであれ、空力的なものであれ、タイヤの最低内圧が引き上げられることで、マシンの作動領域からさらに離れてしまうことに繋がる可能性がある。両者は互いに関連しているのだ。
Matt Somerfield, Jonathan Noble