【分析】レッドブルは2024年マシンRB20が抱える問題の、決定的な証拠を見つけたのか?
開幕直後は今季もダブルタイトル獲得は間違いないと言われていたレッドブル。しかしここにきて、黄色信号が点滅している。ドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルの両方でマクラーレンが急接近し、特にコンストラクターズランキングは第16戦イタリアGP終了時で8ポイント差と、逆転は時間の問題とも思える。 【動画】20年でF1マシンはどれだけ変わった? レッドブル、2005年RB1と2024年RB20を雨のシルバーストンで走行比較 両タイトルを防衛するためには、マシンのパフォーマンスを早急に改善する必要があることは、レッドブルも認めている。しかしそれを言うのと実際に実行することは別問題。何が悪かったのか、まだ明確には説明されていないのだ。 FIAがマシンのレギュレーション違反を指摘したため、それを取り外したことでRB20の戦闘力が落ちたという噂もあるが、これは荒唐無稽な話。忘れてしまっても良かろう。現在の問題は、レッドブルが自ら招いたものだ。 何が起きているのかまだはっきりしたことは分かっていないが、イタリアGPの後にチーム代表のクリスチャン・ホーナーは、問題の原因になっていることについて、興味深いヒントを語った。 マシンはバランスの問題に苦しめられていると公言されているが、これについてホーナー代表は次のように説明した。 「フロントとリヤが分離してしまっている。それは分かっているんだ」 「風洞実験ではそういう結果は出なかったが、コースではそういう状況になっている。だから、それを克服しようとしているんだ。なぜならそうなってしまうと、ツールを信頼できないということになってしまうからだ。だからコースでのデータと過去の経験に立ち返らなければいけない」 では、風洞と実走行データの相関関係が、問題が生じた原因なのだろうか? それを知るために、チームがどこで苦労したのか、そしてそれをどう解決しようとしてきたか、その履歴を見てみることにしよう。 結果とマシンの挙動という点では、マイアミGPがターニングポイントだったようだ。それはレッドブルではなく、ライバルチームにも当てはまることだった。しかしマクラーレンはこのグランプリにシーズン初の大型アップデートを投入し、初勝利を収めた。そしてその後のグランプリで使いやすい、ベースとなるものを手にすることになった。 またメルセデスも、モナコでアップデートを投入したことで優勝争いに加わってくるようになった。 フェラーリもこの頃はトップグループの一角にいた。しかしスペインGPでアップデートを投入すると、高速走行中にバウンシングが発生。マシンの挙動に苦しむことになった。 レッドブルは風洞の相関関係に問題があることに気づき、パフォーマンスをあまり犠牲にせず、安全な解決策を見つけるために、これまで投入してきたアップデートパーツを、再びチェックしなおしたり、実際に走行させたりしてきた。 問題の解決だけでなく、改良にも取り組んできた。その結果オーストリアとベルギーを除く全てのレースで何らかのアップデートが投入された。 マイアミGP以降のアップデートのタイムラインをざっくり見ていくと、その期間中にRB20がどれだけ変更されたか、そのプログラムが長期的な目標と短期的な目標にどう分けられたのかが分かる。