赤い「ひろしまパスタ」定着へ 外食・惣菜でメニュー化 カゴメ
カゴメは「ひろしまパスタ」の定着へ向けた取組みを進めている。 「ひろしまパスタ」とは、広島県産食材や広島名産品とトマト商品を使った“赤いパスタ”のこと。昨年5月、広島市で開かれたG7広島サミットをきっかけに、広島県を訪れる国内外の人たちに地元の海産物や農産物の豊かさを広く知ってもらおうと、世界的なメニューであるパスタを通し県産食材のアピールを始めた。 海産物は広島を代表する牡蠣や穴子のほか、こいわし、しらす、クロダイ、農産物は全国一のレモンをはじめ広島菜や小松菜など。これら地元食材と同社のトマト商品を合わせた赤いパスタをメニュー化し、県内の飲食店やホテルへ提案したほか、家庭でも調理できるようスーパーの店頭でPOPやレシピを使い訴求した。 トマトソースのパスタに着目したのは、瀬戸内の海産物やレモンとの相性が良く、広島市のパスタ購入量が全国的にも多いこと。さらに、「宮島の大鳥居、もみじ、そして広島カープと言えば赤色」(中四国支店・簗田衛支店長)というのが理由だ。 サミット開催前の4月には簗田支店長が県庁を訪れ、玉井優子副知事に「ひろしまパスタ」を紹介。「音戸しらすと広島菜の冷製トマトレモンパスタ」などのオリジナルメニューを試食した玉井副知事は「広島の食材で、これだけ多くの組合わせができることに驚いた。県民だけでなく、広島を訪れた多くの人に楽しんでもらいたい」と感想を述べた。簗田支店長も「食材を変えることで、夏場だけでなく年間を通して展開できる。世界で食されるトマトソースのパスタを通し、県産食材の魅力を発信したい」と意気込んだ。 こうして約30の外食店がメニュー化するなど、順調に滑り出した。だが、サミットが終わると提供する店も減り、半年後も継続していたのは4店にとどまった。 こうした中、「このまま打ち上げ花火で終わらせるのはもったいない」(中四国支店・増田瑠美子営業推進グループ長)と、定着へ向け再び動き出す。 2年目を迎えた今年の夏、新たに2つの取り組みをスタートさせた。その一つが、高速道路のサービスエリアでのメニュー提供。西日本高速道路サービス・ホールディングスと連携し、県内3か所のサービスエリア(SA)で計4種類の「ひろしまパスタ」を販売した。 地御前産牡蠣の「まっ赤な牡蠣アラビアータ」、瀬戸内レモンの塩麹を使った「鶏胸肉と豆腐の冷製パスタ」、大ぶりの牡蠣フライを乗せた「宮島ナポリタンドッグ」などをSAのレストランやフードコートで販売。7、8月の限定メニューだったが宮島SAでは好評につき、その後も販売を継続している。 もう一つが小学生を対象にした「ひろしまパスタ」メニューの募集。「君が考えたパスタがお店のメニューになるかも!?」と題し、夏休みの自由研究として呼びかけた。 その結果、予想を上回る33件の応募があり、そのうち10作品が各賞を得た。グランプリには音戸しらす、がんす、広島菜漬けなどの食材を使った「ぜいたく広島まぜまぜパスタ」が選ばれた。「地元の食材が持つ魅力を改めて知ってもらうことが目的」(増田グループ長)であり、実際に大野のアサリ、廿日市の長ナスなど、自分が住んでいる地元の食材を使ったメニューの応募が多かったという。 受賞作品は今後、外食のメニューや惣菜として商品化を目指す。すでに一部の地元スーパーから引き合いがあり、来年春の販売へ向け準備を進めている。このほか、ネットスーパーなどでは「ひろしまパスタ」のメニュー提案を通した、関連商品の販売も視野に入れる。 また、ホテルに向けては朝食向けのメニューとして提案。広島は欧米人を中心としたインバウンド需要が多いため、朝食に「ひろしまパスタ」を提供することで、普段食べ慣れたパスタで広島らしさを演出できる。また、飲食店に向けては「洋食店でも広島らしさを出せるので、店の観光客増加につながるのでは」(同)と期待する。