セガンティ巡る疑惑で広がる波紋、銀行が頼るブロック取引の担い手
(ブルームバーグ): アジアのヘッジファンド運営会社セガンティ・キャピタル・マネジメントの創業者、サイモン・サドラー氏は長年にわたり安定したリターンを上げるヘッジファンドの経営者であり、アジアにおける「ブロック取引の帝王」として知られていた。一方、香港の本社内部では、投資スタッフに強い圧力をかける存在だった。
セガンティは長年、大量の株式を売却する必要があるウォール街の銀行を支える重要な役割を担ってきた。
セガンティの関係者10人以上を取材したところ、成功以外は許されないという厳しい企業文化が浮かび上がってきた。ある元従業員は、ミスを犯したトレーダーが同僚らの前でサドラー氏に強く叱責(しっせき)されるのを見たと明かした。サドラー氏との困難なやりとりの後、トレーディングフロアで泣き崩れた従業員がいたとの声も聞かれた。
香港証券先物委員会は先週、セガンティとサドラー氏、ダニエル・ラ・ロッカ元トレーダーに対する刑事手続きに着手した。2017年6月のブロック取引に先立ち香港上場企業の株式を取引した際、セガンティがインサイダー情報を得ていたと証券先物委は主張。同社は積極的に争う構えを示した。
金融業界にとって今回の疑惑は、セガンティがどのように運営されているのか、銀行や顧客はどう反応するのか、捜査はどこまで及ぶのか、といった疑問を投げかける。
セガンティ向けにファイナンシングを行うプライムブローカーのリストには、JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックス・グループ 、BNPパリバ 、UBSグループなど金融機関9社が名を連ねた。セガンティが3月、投資家への最新業績報告で明らかにした。
JPモルガンと野村、セガンティとの取引制限-香港での事件巡り (1)
ドレスナー・クラインオート・ワッサースタインとドイツ銀行の元トレーダーだったサドラー氏は2007年末、香港でセガンティを創業。ロンドン、ニューヨーク、ドバイにオフィスを構え、アジア太平洋地域の株式と株式連動証券を中心に世界で取引を展開するアジアのヘッジファンド大手へと成長させた。3月末時点の運用資産は48億ドル(約7500億円)。