日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』で再注目「軍艦島」の何が凄かったのかーー「日本で最初の鉄筋コンクリート造マンション」「タワマンみたいなダストシューター」
このときは、当時からすでに一般の立ち入りは許可されていなかった9階建ての「65号棟」の内部に入り、その65号棟の屋上幼稚園や住居の跡など、貴重な生活の痕跡を見ることができました。 結果、端島でも撮影が行われることとなり、実際の劇中シーンでも、その65号棟の前や、端島小中学校のグラウンドなどで撮影が行われています(余談ですが、この『進撃の巨人』では、端島以外にも茨城県内の廃墟でロケをしています)。
今回の『海に眠るダイヤモンド』では、第1話のラストで印象的な階段が登場しています。ここはかつて「地獄段」と呼ばれていた階段で、人々が行き交い、活気のある端島を象徴する場所でした。 今でも「16号棟」の横にそのままの状態で残っています。筆者も実際にこの「地獄段」を上り下りしましたが、なかなかのキツい階段だったことを覚えています。 また、第2話では、集合住宅の各階の家庭からゴミを集めるシーンが登場しましたが、各階から出たゴミを階下に集める「ダストシューター」の仕組みも残っていました。これは現在のタワーマンションにも通じる設備で、当時、端島がいかに最先端だったかがわかります。
■いま「端島」を訪れたら何が見られる? さて、この端島には、今も実際に訪れることができるのでしょうか。 答えは、現在でも上陸可能です。長崎の港から船で訪れることができ、「軍艦島」の名の由来ともなった、その独特な形の島の全景を海上から見ることができます。 また、島に上陸できるツアーも、複数の遊覧船会社が運営しています(天候によって上陸できなかったり、催行が中止になったりする場合もあり)。 しかしながら、島に残る遺構の保存の必要性により、ツアー参加者が実際に訪れることのできる場所は限定されています。
ツアーでは、桟橋から下船して、全長200メートルほどの遊歩道を進み、第1から第3までの見学広場からは、当時の遺構の一部を外から見ることができます。 特に、一番奥の「第3見学広場」から望む、7階建ての「30号棟」の遺構はハイライトで、集合住宅の様子から、当時の賑わいを十分にイメージすることができます。 また、長崎港からの船旅の途中には、端島同様に炭鉱の島であった「高島」や「中ノ島」の横も通り、さらに長崎港付近では、長崎の観光名所である「グラバー園」や現在も現役である巨大クレーンなどを海上から見ることができます。