英中銀、0.25ポイント利下げ-予算案はインフレ押し上げと警告
(ブルームバーグ): イングランド銀行(英中央銀行)は7日、今年2回目となる利下げを実施した。金融緩和の加速を示唆することは控え、政府の予算案がインフレ率を最大で0.5ポイント押し上げる可能性があると警告した。
ベイリー総裁率いる金融政策委員会(MPC)は、政策金利を0.25ポイント引き下げ4.75%とすることを8対1で決定した。マン委員が5%での据え置きを主張した。0.25ポイント利下げはエコノミストの間で広く予想されていた。
ベイリー総裁は声明で「インフレ率を目標値付近で確実に維持する必要があるため、あまりに急激な、あるいは大幅な利下げはできない」と表明。「しかし、経済がわれわれの予想通りに推移すれば、金利はここから緩やかに低下し続ける公算が大きい」との認識を示した。
決定発表後、ポンドは上昇し、2年物英国債は上げを維持した。
イングランド銀行の今後の金融緩和は、10月30日に発表された予算案と、ドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利によって複雑になっている。
リーブス財務相が10月30日に発表した予算案によると、政府は700億ポンド(約14兆円)規模の歳出を計画。そのほぼ半分は借り入れで賄われる。トランプ氏は関税引き上げをちらつかせており、新たな世界貿易戦争を予感させる。
債券市場には懸念が表れ、英政府の借り入れコストは予算案発表以降に1年ぶりの高水準を記録した。2022年に当時のトラス首相が財源の裏付けのない減税計画で投資家を動揺させた記憶がよみがえるが、英中銀のラムズデン副総裁はこの日の記者会見で、市場の価格調整は「秩序立った」ものだったと述べた。
政策金利が来年末までに3.7%に低下し、その後も同水準を維持するという想定に基づいて、中銀は2年後のインフレ率を2.2%、2027年終盤で1.8%と予想した。
決定前に市場が織り込んでいた政策金利の軌道は、中銀予測の前提に比べてほぼ0.5ポイント高いため、市場が予想する以上の利下げにつながる可能性がある。