ロータスの “エスプリ” 受け継ぐ新型スポーツカー 1000馬力で「カーボンむき出し」大胆EV、市販化の予定は
F1の歴史へのオマージュも
パワートレインとして、最高出力700psのモーターをリアに、300psのモーターをフロントに搭載している。小型のモーターをフロントに配置することで、「大きくてぶっきらぼうなフロントエンドは不要」とフィル・ホール氏は言う。 70kWhのバッテリーはリアモーターを囲うように配置され、リアエンジンのスーパーカーと同様の重量バランスを実現するとともに、車高を低く抑えている。 リアモーターとバッテリー・アセンブリは構造部材として活用され、リア・サスペンションとウイングが取り付けられている。1967年のロータス49から始まったF1デザインのトレンドを模したものだ。 フィル・ホール氏はこうした構造について、「歴史的なつながりがあり、またパッケージを非常に小さくすることができる」と説明している。 ブレーキはAPレーシング製の6ピストンキャリパーを採用。ホイールはフロント20インチ、リア21インチで、ピレリPゼロ・エレクト・タイヤを履く。 また、ステア・バイ・ワイヤ技術とダブルウィッシュボーン・サスペンションを備えている。
カーボンむき出しの内装
セオリー1はマクラーレンF1と同様の3人乗りレイアウトを採用しており、ドライバーは前方中央に、2人の乗員はやや後方の左右に座る。 サステイナビリティ(持続可能性)を向上させるため、一般的なクルマでは約100種類使用される「Aサーフェス」(目に見える)の素材を、わずか10種類に抑えることを目指した。 そのため、インテリアの大部分をむき出しにして、リサイクル・カーボンファイバー製シャシーにシートを直接彫り込むというスパルタンなデザインとなった。座面と背もたれには申し訳程度のクッションがあるが、構造体にほぼそのまま身体を預けるような形だ。 インテリア・デザインを担当したベン・ホール氏はこのシートについて、「一般的な座り方の圧力マップを調べ、最低限必要なものを用意し、十分なサポートが得られることを確認しました」と述べている。 運転席は固定されているため、ステアリングホイールとペダルがドライバーに合わせて自動的に格納・伸長する。 インテリアはミニマルで、インフォテインメント・スクリーンや従来のディスプレイはない。ステアリングホイールには小型スクリーンが備わり、スピードメーターはドライバーの目線上のフロントガラスとダッシュボードの境目にある。また、ロータスF1の伝統にちなんで、車内外の随所にゴールドのカラーリングが施されている。 セオリー1では機能を最小限に抑えるため、新しい技術コンセプトをいくつか採り入れた。シートとステアリングホイールには、ハプティック(触覚)フィードバック用の小さなパッドが装着されている。例えば、ドライバーの死角に他の車両が入ったとき、肩を叩くような感覚を再現して注意を促すことができる。 焦点となったのは、運転視界を最大限に確保し、車内を開放的にすることだった。低いフロントガラスと高いホイールフェンダーにより、車輪の位置がはっきりわかるという。これは、ロータスでは、元ダイナミクスの第一人者マット・ベッカー氏にちなんで「ベッカー・ライン」と呼ばれている。 ベン・ホール氏は、運転席が中央の低い位置にあることはダイナミクスにとっても良い影響を与えると述べた。