敦賀へ「延伸」北陸新幹線 盛況の一方で地震の爪痕も 観光地の“光と影”とは… 【バンキシャ!】
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北陸新幹線の金沢~敦賀間が開業した16日、早朝から多くの鉄道ファンらが各駅に詰めかけました。能登半島地震からの復興へ、北陸全体が盛り上がることに期待が高まるなか、深刻な打撃を受けた温泉地ではいまだ厳しい状況が続いていました。【バンキシャ!】 16日、バンキシャが東京駅で出会ったのは―― 小学6年生 「これが乗車券で、こっちが特急券です」 神奈川県から来た小学6年生の2人。北陸新幹線終点の、敦賀駅まで行くという。 バンキシャ 「敦賀に行って何するの?」 小学6年生 「こちらの友達のおじいちゃんとおばあちゃんの家に泊まりに行きます。北陸には行ったことがないので楽しみです」 母親たちに見送られ、1泊2日の卒業旅行。新幹線に乗り込むと、景色を撮るためにスマホを設置した。3時間以上の長旅で、車内では映像を撮り続けた。そして、敦賀駅に到着。乗ってみた感想をきくと… 小学6年生 「金沢を過ぎてからの景色が新鮮でよかったです」 小学6年生 「普通の新幹線よりもトンネルが一番多かったような気がします」 するとそこへ… 祖母 「いらっしゃい」 迎えに来ていた祖父母と、無事に再会。駅の外に出ようとするが… 小学6年生 「さすがに混みすぎ」 バンキシャ 「すごいよね」 駅前で開業イベントが開催されるなど、街は大盛り上がり。無料で振る舞われていたのは、ズワイガニを使った「かに汁」だ。敦賀の街を楽しんだ2人。翌日は鉄道模型を見に行く予定だという。 *** 構想から50年以上、新たに開業した北陸新幹線の金沢~敦賀間。その盛り上がりの一方、地震で深刻な被害を受けた観光地では、新幹線開業に期待しながらも、変わらぬ苦境も…。 15日、石川県七尾市。午前10時すぎ、漁から帰ってきた1隻の船をバンキシャが取材した。 バンキシャ 「お疲れさまです」 収穫していたのは、七尾湾特産の「能登かき」。地震の影響でおよそ2か月続いていた断水が3月に入り解消。この業者(山田水産)は、ようやく以前のように営業ができるようになった。16日、社長の自宅を訪ねると… バンキシャ 「これはいま何を?」 山田水産 山田英里さん 「カキのオリーブオイル漬けになります」 新幹線開業のイベントに出店するという。 山田さん 「少しでもはやくみなさんが復興できるように…。できる人がやっていって、アピールするしかないかなと。(カキは)能登の特産品ですので」 山田さんが出店するのは、新幹線の新たな停車駅、小松駅(石川県小松市)。準備したのは大ぶりのカキを3つのせたカキご飯と、オリーブオイル漬けも。 午前11時、イベントが始まると、店の前には行列ができた。 小松市民の女性 「おいしい!」 富山から観光客の女性 「カキご飯1つ」 店員 「カキご飯1つ」 富山から観光客の女性 「どんどんお金使ってるよ」 店員 「それが経済を回すってことやから」 およそ3時間で完売した。 山田水産 山田英里さん 「想定外でしたね。新幹線すごいですね。大変でしたねとか、能登また復活したらいいねとか、いっぱい声をかけてくれて、励まされました」 *** 16日、お祝いムードでにぎわう、北陸新幹線の新たな停車駅(加賀温泉駅)。 この盛り上がりを後押しするのが、“北陸応援割”だ。 フロント(ホテルアローレ) 「本日、応援割の方を使われてますので…」 2万円を上限に宿泊費などが半額になる。こちらのホテルでは通常4万円のプランが、北陸応援割で2万円に。のどぐろの塩焼きなど北陸の食材を使った料理が楽しめる。 実は、このホテルに宿泊しているのは観光客だけではなかった。 女性 「2次避難に。(家が)大規模半壊で…」 およそ2か月前、珠洲市から2次避難してきたという。この日は小学6年生の孫が富山県から会いに来ていた。見せてくれたのは小学校の卒業アルバム。 女性(小学6年生の祖母) 「ここにいる。へ~。ありがとうね、見せてもらって。うれしいわ」 この「ホテルアローレ」では130ある客室のうち、50室を2次避難者に提供しているという(17日時点)。 祖母 「ホテルのお客さんをいれると、もうけになるけど、私ら(2次避難者)やったら売り上げにならんやろうし。気の毒やなって思うんです」 *** 一方、能登半島ではいまだ厳しい現状が…。16日、バンキシャは能登半島の和倉温泉(石川県七尾市)へ。 バンキシャ 「観光客らしき姿は見当たらないですね」 街に残された地震の爪痕。和倉温泉にある22の旅館すべてで、観光客の受け入れはできていないという。バンキシャが訪ねると、部屋の中はいまも地震直後のまま、手をつけられずにいた。 和倉温泉「美湾荘」多田直未社長 「ここまでめちゃくちゃになっていると、結局、掃除ができないんですよね。水がないので」 地震から2か月半、いまも続く断水。そんな中、最近、うれしいできごとがあった。 多田社長 「大浴場には温泉が引いてこれるようになりまして。配管も直してもらいました。温泉が出たときはすごく感動しましたし、本当に良かったと思いました」 配管の修理が終わり、13日にようやく温泉が出るようになったという。それでも気がかりなのは、100人を超える従業員。 多田社長 「どういうふうに雇用を継続していけばいいのかなっていうのが、一番悩んでいるところですね」 旅館の一部を解体することも検討していて、通常営業できるまで、2年はかかるという。 多田社長 「新幹線が予定通り開通したということは、非常にうれしいことです。能登半島の方はまだまだ先なんですけど(応援割が)北陸全体の助けになればいいなと思ってます」 *3月17日放送『真相報道バンキシャ!』より