「恋人のスマホを勝手に見たらDV」「男がデートで奢るべき、は差別」新しい時代の常識3つ【トイアンナ】
映画『男はつらいよ』でも語られなかった、本当につらい男の人生とは。下がる実質賃金、増える社会保険料。それでも一家を養うのは男の仕事と期待され、稼ぎがなければ結婚もできない。そんな男性のいきづらさを、書籍『弱者男性1500万人時代』の作者、トイアンナが語る短期集中連載、最終回は「新しい時代のDV」について語ります。
差別は時代とともに変わる
何が差別で、何が差別でないかは常にアップデートされるものだ。たとえば、1989年の終わりに生まれた「保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)」は、お茶の間をわかせたバラエティ番組のキャラクターだったが、今なら言語道断の差別になるだろう。 当時、保毛尾田保毛男に爆笑していた人が、今は真面目な顔で「LGBTQ+への差別は許されない」と語る。その変化は白々しいと感じるかもしれないが、必要なものである。 そして、これから変わりゆく差別の線引きもある。日本で「これから」間違いなくアップデートされるのは以下の3つだろう。
1 「男が奢らないなんて」と怒るのは差別
「デートで男性が奢らないなんて、私はバカにされているのでしょうか」 と、相談してくれたのは20代の女性である。 私は、婚活予備校を主宰している。そのため、生徒以外からも婚活相談をいただくことも多い。これは、そこに紛れ込んだ相談のひとつだ。 彼女は初デートを終えたばかりだった。そして、初デートにもかかわらず奢ってもらえなかったことに傷ついていた。怒っていたのではない。自分が奢るほどの価値もない女だと思われたと感じ、悲しんでいたのである。 だが、実際には婚活において、割り勘のお会計をするケースも増えている。さらにいえば、女性が奢るケースもでてきた。にもかかわらず、「バカにされている」と感じてしまうのは、自分の内心に偏見が眠っているからだ。 根底にある「デートで女性を大事に扱うつもりがあるならば、女性の費用を負担すべき」という前提には、「どうせ女性だから稼げていないんだろう」「女性は養われる身分だから」という女性蔑視がある。奢られるべきだと考える女性は、自分で自分の性別を蔑視してしまっているといえる。 日本において、男女で賃金格差があるのは事実だ。だが、たとえば、こういった女性が「自分より年収が低いから」と、男性に奢るかと言われればノーである。奢られ派の女性は、「男性は女性に奢るもの。だって、男性は私より稼いでるでしょ」「奢らないなんて、男らしくない」という無意識の思い込みがないだろうか。そうなると、これは賃金格差とは別の問題である。 その偏見、差別感情を持つのは自由だ。日本には思想の自由がある。だが、今後はそれを口に出すと、「女たるもの、男より三歩後ろをあるくべし」と言われているくらいの、リアクションをされても仕方がないといえるだろう。
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