50代からNISAは「いまさら遅い」? 老後資金の不安が解消する合理的な方法
投資の重要性が叫ばれている昨今、どのようにして資産を運用していくかは、一般人にとっても悩みの種だ。『THE21』2024年7月号では、長年「お金と人間」というテーマに向き合ってきた作家の橘玲氏に、今必要なお金に対する考え方を聞いた。(取材・構成:石澤寧) 【元長者番付1位】清原達郎氏が推奨する新NISA運用法 ※本稿は、『THE21』2024年7月号特集「40代・50代は新NISAをどう使えばいいのか」より、内容を一部抜粋・再編集したものです。 ※本稿は2024年6月時点の情報に基づき、投資に対する著者の考え方を示したものであり、個別の金融商品を推奨するものではありません。金融商品の価値は状況によって変動しますので、購入の可否を含む投資の判断はご自身の責任で行なうようお願いいたします。
新NISAで「金持ち批判」が なぜ起こらなくなったのか
旧NISA制度がスタートしたのは2014年。当時は、「金持ち優遇」「庶民には投資する余裕なんてない」という声も聞かれ、資産運用に積極的な一部を除いてはあまり盛り上がりませんでした。18年までは積立投資に対応していなかったことも影響したかもしれません。 それから10年を経て、今年からNISAが大幅に拡充されましたが、今回は批判の声はほとんど聞こえてきません。つみたて投資枠で120万円、成長投資枠で240万円、合計360万円の年間非課税枠を使い切れる人は決して多数派ではないでしょう。 それでも「金持ち優遇」の声があまり上がらないのは、投資に対する日本人の価値観が変わったからだと思います。より具体的に言えば、「老後は国が面倒を見てくれる」という幻想がなくなったからと考えられます。 19年に「老後2000万円問題」が社会的なパニックを引き起こしましたが、少子高齢化で支え手はどんどん減っていくのだから、社会保障制度が持続不可能なことはちょっと考えれば誰でもわかります。 2050年には一人暮らしの高齢者が1000万人を超え、前段階の軽度認知症を加えれば65歳以上の3人に1人が何らかの認知的な障害を抱えると想定されています。最近も「子育て支援金」が「ステルス増税だ」と批判されましたが、現役世代がさらなる負担増に身構えるのは当然でしょう。 こうした状況の中で始まった新NISAは、18歳以上の一人あたり1800万円までの投資に対して恒久的に税を免除する、国家の大盤振る舞いと言うべき制度です。逆に言えば、「これまでのようには国民の面倒は見られないから、老後の備えはできるかぎり自助努力でなんとかしてほしい」というメッセージと読むこともできます。 これは日本に限った話ではなく、NISAがイギリスのISAという税優遇制度を参考に作られたように、少子高齢化に直面した先進諸国は、どこも税を優遇して資産形成を促し、将来の国の負担をなんとか減らそうとしています。そうしなければ年金や社会保障の制度が持たないからです。