アウディが「意外な場所」にメディアを呼ぶワケとは? 稚内の風力発電所で行われたツアーに参加して
エネルギーの地産地消を実行している地域の行政担当者や事業者、学生たちの取り組みを直接見聞きし、“持続可能な未来を一緒に考え、想いを共有する仲間づくりの旅”だと、アウディジャパンは説明する。 自力での取材が難しい場所へ行けて、ここで書いたような現状に触れられたのは、アウディジャパンの熱意によるものだ。 未来共創ミーティングで印象的だったのは、「北海道の自然エネルギーで作った電力を本州に送れるシステムの構築があればいい」という発言だった。話題になっている長距離海底直流送電や、蓄電池による輸送のことだろう。
北海道では、発電できる電力量は多くても、需要が足りない。余ってしまっているのが現状なのだ。そのうえで、シェーパース氏は次のように話す。 「電気を“出していく”ことが難しいというのは、驚きでした。作った電気をどこにどうやって売るかを考えるのが、課題だということも。それでも、電力が余っているのは、BEVにとって明るい情報です。このさき、日本がBEVに向かない市場だと判断されないようにすることが、アウディジャパンにいる自分の仕事です」
■BEVへの関心を高めるために いま、アウディジャパンはBEVのラインナップ拡充に努めている。「Q4 e-tron」「Q4スポーツバック e-tron」「Q8 e-tron」「Q8スポーツバック e-tron」「SQ8スポーツバック e-tron」「e-tron GT quatro」、そして「RS e-tron GT」と日本での布陣を構え、この先には「Q6 e-tron」や「Q6スポーツバック e-tron」などの発売も控えている。
シェーパース氏は、BEVに関して次のようにつけ加えた。 「私たちの活動報告に触れて再生エネルギーやBEVに興味を持ってくれたら、(日産の小型BEVである)サクラに乗ってくれてもいいんです。将来、アウディを選んでくれたらベストですが(笑)」 まだまだBEVが身近でない日本の自動車環境で、アウディとアウディジャパンが果たす役割は小さくなさそうだ。 【写真】アウディ・サステナブル・フューチャーツアー北海道の現場から(20枚)
小川 フミオ :モータージャーナリスト