「嫌な仕事」 断っていいラインと心構えって? 意義がない仕事を減らしたい! カギを握る“ふわっとした空気感づくり”
何気ないコミュニケーションから土台を
──職場での上司・部下の「土台作り」とは、コミュニケーションのことでしょうか? 山本:はい。私が上司・部下ともに推奨したいのは、その中でも、いわば能動的なコミュニケーションです。 例えば、廊下ですれ違ったときに、あいさつができているかどうか。あいさつは「あなたの敵ではない」という意思表示になりますから、意外と重要です。 エレベーターで二人きりになって、1分弱くらい時間ができたときもチャンスです。トイレで部下と上司が出くわした際など、立場上は下の人間から能動的に「お疲れさまです」と言い、上の人間も「明日の会議、よろしくね」と言えるかどうか。 私たちはAIでなく人間であり、感情を抜きに話すことはできません。こうした能動的なコミュニケーションができれば、土台ができていきます。部下の立場からは「自分は上司に認識してもらっている」と思えるでしょう。 お互いに安心できる「ふわっとした空気感」を作っておくだけで違ってきます。 土台作りができれば、部下も「意義はないですよね」という言葉遣いをしないのではないでしょうか。「この仕事がどういう意味合いを持つのか、分かりきれてません」という言い方をしてくれると思います。 そうすれば、上司も「意義を感じ取れていない」ことへの対処ができるでしょう。 ──普段のコミュニケーションがうまくいっていれば、互いに歩み寄れるのですね。 山本:依頼した仕事の意義を感じ取れていない部下を見て、日頃からコミュニケーションの土台ができていれば、上司は「仕事の意義」についてしっかり伝えようとするでしょう。 もし上司がかみ砕いて説明できないのであれば、その人自身もちゃんと意義を理解していないか、その仕事が本当に意義がないかのどちらかでしょうね。 書籍では「仕事の断り方」というタイトルにしていますが、私は仕事の意義について「断る前に確認しましょう」と推奨しています。