「言語化の鬼」サッカー解説者の林陵平が東大サッカー部の監督をしてわかったこと
7月24日に開幕する予定のパリ五輪。初日開催のスポーツのひとつがサッカーだ。ワールドカップアジア2次予選、最終戦のシリアに5-0で快勝し、全勝で幕を下ろした森保ジャパンの活躍も期待される。 そんなサッカーで「解説の言語化がすごい」と話題なのが林陵平さんだ。 ではその「言語化」はどのように培われたのか。 ジャーナリストの島沢優子さんが林さんにインタビュー。多くのアスリートの「ノート」についても取材をしてきた島沢さんが感じたことは。 【写真】「家長バンク!」家長選手と2ショットの林陵平さん、ぎっしり書かれたノート
「家長バンク」がSNSで拡散
昨年のサッカー天皇杯決勝。解説を務めた元Jリーガーの林陵平さんは、川崎フロンターレの家長昭博選手が抜群のボールキープを見せると「ボールを預けても決して失わない。まるで大銀行のよう」と表現。即座に「家長バンク」と言って見せた。これがSNSで拡散され話題になった。 東京ヴェルディユースから明治大学。卒業後はヴェルディを皮切りに2020年まで現役だった。月間100試合以上を観戦し、DAZNやWOWWOWなどで欧州リーグなど幅広く解説する。2024年2月に出版した『林陵平のサッカー観戦術』(平凡新書)は6月15日現在で4刷4万部を超える大ヒット。そのわかりやすい解説と絶妙な表現力から「言語化の鬼」の異名をもつ林さんは、小学生時代からサッカーノートを上記の著書で紹介している。 実は当方、自らを勝手に「ノート研究家」と呼んでいる。アスリートのノートや指導者のフィードバックを紹介し、それらを脳科学的に分析した『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』(カンゼン)を2019年に出版したこともある。今回、林さんのノート活用術や、彼がどのようにして言語化に磨きをかけたのかをインタビューした。 9歳からつけ始めたノートは20冊ほど。それとは別に、大学時代からはあることをきっかけに日々何をした、どう感じたか、考えたかといった生活記録もつけている。 林「大学時代の練習でめちゃくちゃきついトレーニングを経験したんです。いやもう死にそうになった(笑)。それがきっかけで、一日一日何か書いてみようと思ってから、今でもずっと続けています。今日あったことを一日の終わりに書く。たまに溜まっちゃうときもありますが、基本的には寝る前とかに書いたりします。サッカーもそうなんですけど、書くことによって何か自分のことを振り返るというか整理できます」