【闘病】「子宮頸がん」コロナ禍を経て3年ぶりに受けた検査で発覚 まさか30代で…
家族や周囲の理解が治療に向けての力になった
編集部: 告知されてから何か変わったことはありますか? 田中さん: 告知を受けたものの、自覚症状がなかったので落ち着かない日々が続きました。治療期間は家の中の断捨離や仕事の引継ぎ、身辺整理をして過ごしていました。 編集部: 心の支えになったことなどはありますか? 田中さん: 私の親もがんの治療経験があったので、がんになったことを伝えた時も落ち着いた様子で受け止めてくれて、安心しました。小学生の娘も「手術すれば治るよ」と明るく励ましてくれて、家族みんなで治療という目標に向かうことができたのが心の支えでした。 入院期間中は、少しでも気分が上がるようにとアロマオイルやクッション、本など欲しいものを持ち込ませてもらいました。 編集部: 職場の方にも治療について伝えたのですか? 田中さん: 職場の上司や同僚にもがんであることを伝えて、1カ月間の休職をいただきました。職場の方からは色紙で「帰ってきてね、待っています」という温かいメッセージもたくさんもらったので、それも心の励みになりました。 編集部: 病気になる前のご自分に助言ができるなら、どんなことを伝えたいですか? 田中さん: 「その働き方はもう身体が続かないよ」と助言してあげたいです。当時の私は仕事が忙しく、身体の疲れがあっても誤魔化しながら働いていました。仕事を理由に休むことをしていなかったので、すごく反省しています。
がんは誰もがかかる病気、早期発見でがんと付き合って生きていく気持ちを持ってほしい
編集部: 現在も治療中だと思いますが、体調や生活・仕事の変化を教えてください。 田中さん: もう少しで術後3カ月になりますが、今でも傷口が痒くなり、赤く腫れることがあります。ホルモン補充療法として、2日に1回エストラーナテープ0.72mgをお腹に貼っているのですが、これを10年間続けると医師に言われて驚きました。 幸い、大きな副作用はないものの痒みは我慢するしかないと思います。仕事については、上司に相談して業務量を減らしてもらい、休憩を心掛けるようにしています。 編集部: そのほか、生活で注意していることはどんなことですか? 田中さん: 私の場合、腹腔鏡手術で子宮、卵管、卵巣を摘出して、リンパ節郭清も行ったのですが、今のところ副作用のリンパ浮腫は出ていません。ですが、いつか現れるかもしれないので、入院中に看護師の方から教わったリンパマッサージをして身体の浮腫には注意しています。 編集部: 子宮頸がんは女性特有の病気ですが、病気について知らない人に伝えたいことはありますか? 田中さん: 子宮頸がんに限らず、身体は資本です。良い仕事をするためにも、体調を1番に仕事をしていくことを大事にしてほしいです。また子宮頸がんの原因の多くはHPVというウイルス感染なのですが、娘とHPVウイルスワクチンについて話すきっかけにもなりました。 編集部: 田中さんの治療を担当された医師や医療従事者の方にお伝えしたいことはありますか? 田中さん: 手術直後、動けなかった時にたくさん助けていただきました。心の温まる声かけもしていただいたことは、今でも本当に感謝しています。 編集部: 最後に、田中さんからこの記事を読まれている読者の方へのメッセージをお願いします。 田中さん: 私はがん治療を行う際、家族だけでなく職場の上司や同僚にも公表しました。伝える前は不安もありましたが、伝えることで安心して休むことができました。病気の有無に関係なく、職場の人間関係を大事にすることは大きな意味があると思います。 また、昔は「がん=死」のイメージもありましたが、初期の場合は「がん=死」や「がん=仕事ができない」というわけではありません。今や誰もががんになってもおかしくない時代ですので、早期発見を目指すためにも皆さんに検診を受けてほしいと思います。