「冤罪のリスクも…」警察が弁護士に“被疑者との接見”で「スマホ使用」を禁止 “他人ごと”ではない「接見交通権・秘密交通権侵害」見逃されがちな問題
弁護士の違法行為への「制裁」
もしも、弁護士が被疑者・被告人による違法な外部交通に加担した場合には、どのようなペナルティーがあるのか。 福原弁護士:「弁護士は、そもそも職務倫理上、被疑者・被告人の罪証隠滅等違法行為に加担することを許されていません。 仮に本件のように弁護人が証拠隠滅等に加担してしまった場合は、弁護士に対する証拠隠滅罪(刑法104条)等による処罰や、所属弁護士会からの懲戒処分(除名等)の制度があります。 これらの処分があることによって、同様の違法行為への加担を事前に抑止することにもつながると考えられます(※)」 ※ ルフィ事件では、弁護士は証拠隠滅罪で書類送検され(のちに不起訴)、所属の広島弁護士会から除名の懲戒処分が行われた。
一般人にとっても「明日はわが身」
冤罪や違法捜査の報道があとを絶たないなか、誰しも、ある日、身に覚えのない罪で逮捕・勾留される可能性は否定できない。また、本件の被疑者のように罪を犯す意図がなくても「過失犯」に問われる可能性もある。さらに、仮に故意犯だったとしても、知らない間に「違法な取調べ」を甘受させられることがあってはならないだろう。 被疑者・被告人が対等に捜査機関と対峙できるようにするためにも、可能な限り初回接見の段階で、弁護士は、被疑者・被告人に黙秘権等の権利を十分に説明して防御の利益を確保し、事実確認等を速やかに行い、早期の身柄解放を実現するために尽力しなければならない立場にある。その際にスマートフォンが果たす機能と必要性を、決して軽視すべきではないと考えられる。
弁護士JP編集部