捨ててよいものいけないもの それを突き詰めて出家したお釈迦さま
満員電車に揺られて出社し、朝からたくさんのメールに返信しながら、上司から急に振られた書類を急いで作成。ランチの時間もあまり取れずに会議に参加し、部下の相談に乗りつつ気づけばもう退社時間に……。抱えている仕事の違いはありますが、常に何かに追われ、日々の慌ただしさから「時間がない」と感じている人は多いのではないでしょうか。 【関連画像】佛心宗大叢山福厳寺住職、大愚 和尚 私たちの身の回りには新しいテクノロジーが次々と生まれています。特に現代社会は、インターネットのおかげで生活が格段に便利になりました。一方で、インターネットが登場したがゆえに、四六時中誰かとつながっていたり、いつでもどこでも仕事ができたりするようになりました。加えて、ネットを通じて莫大な情報の波も私たちの元に押し寄せています。新しい言葉、新しい概念、新しい価値観、新しい情報……。これらに「順応しなくては」と思う気持ちも焦りを生み、時間に対する余裕をなくしていることに、まずは気づく必要があると私は思います。 1日が24時間である事実を変えられる人はいません。どんな時代も、誰であっても、時間を増やしたり短くしたりできる人はいません。みんな、時間は平等なのです。そう、今あなたが「忙しい」と感じているように、いつの時代の人たちも忙しかったのです。昔よりも文明が発達した現代人のほうが忙しいというのは、完全な思い込みです。 とはいえ、現実問題として今、忙しいということに変わりありません。では、私たちはいったいどうしたら、慌ただしい日々から解放されるのでしょうか。それには、セルフマネジメントをするしかありません。「自分の使い方」を変えるのです。
忙しいのは誰かのせいではない
仏教には「戒律(かいりつ)」というルールがあります。戒とは個人のルール、マイルール。 律とは、僧団(サンガ)に属する修行者が守らねばならない、集団の約束事や決め事です。組織で働いていれば会社の就業規則があるように、社会には多くのルールが存在します。自分への約束では、「○時以降はメールを見ない」といったものもあるでしょう。しかし、このルールはみんな同じかといえば、そうではありません。みんな違うのです。 それぞれルールが違うのは、良いほうに作用する場合もあります。例えば、終業時間が18時の会社があるとしましょう。同じように、すべての飲食店やスーパーマーケットなどが18時で閉店してしまったら、仮に残業で帰りが遅くなってしまった日は、何も買えず困るのではないでしょうか。残業で空腹のおなかを満たしてくれるのは、夜遅くまで営業している飲食店があるからです。 しかし、ルールが違うからこそ、様々な要求が飛び交います。「○日までに回答がほしい」「○時までに仕上げてほしい」と、こちらの都合も考えずに一方的に何かを要求されるとイラっとくることがありませんか。けれども、自分も知らないうちに誰かに同じようなむちゃ振りをしていることがあるかもしれない。そう、お互いさまなのです。 そして、忙しいのは相手のせいだけではありません。私たちは、インターネットの進化とともにスマートフォンという便利なアイテムを手に入れました。しかしこのスマホ、あなたは片時も肌身離さず持っていませんか。今は、トイレやお風呂の中にまでスマホを持ち込む人が多いと聞きます。それでは相手のむちゃ振りを「いつでも対応します」と言っているようなもの。自らその環境を整えているのです。忙しいのは“誰かのせい”ではありません。自ら忙しくしているのです。 では、どうしたら自己管理、セルフマネジメントができるようになるのでしょうか。それには3つの基礎を押さえるとよいでしょう。