厳しい暑さ続く、目立つ肌トラブル スキンケアはこすらず「置く」
記録的な猛暑だった今夏、9月に入っても暑い日が続いています。汗ばむ蒸し暑さが原因の肌トラブルが目立つようです。皮膚のバリアー機能を低下させ、いわば顔の肌が「ごく軽いおむつかぶれ」の状態になっているそう。気を付けたいことを、身原皮ふ科・形成外科クリニック(広島市中区)の身原京美院長に尋ねました。キーワードは「こすらない」だそうです。 暑い日が続く時季のスキンケアのポイント
「ふやけ状態」の肌は敏感に
上まぶたがかさかさして赤くなり、ひりひりと痛がゆい―。身原院長のクリニックには、こうした症状を訴える患者が7月下旬の梅雨明け以降、1日数人ずつ訪れています。「例年暑くなると増えるが、今年は特に多い印象」だそうです。 何が起きているのでしょう。皮膚には、外部からの刺激や体内の水分の蒸散を防ぐ「バリアー機能」が備わっています。身原院長によると、高温多湿な環境下で常に汗ばんでいる皮膚は、ごくわずかにふやけた状態になるそうです。すると本来しっかり結びついてバリアーの役目を果たす角層の細胞が膨らんで乱れ、少しの刺激でも炎症を引き起こしてしまうことがあるというのです。 「赤ちゃんのおむつかぶれをイメージしてください。ごく軽いレベルで同じことが起きています」と身原院長。もともとドライスキンの人は肌が敏感なため、影響を受けやすいそうです。 患者さんの中には、皮膚が薄い上まぶた、力が加わりやすい頰骨あたりに炎症が起きている女性が目立つそう。身原院長は「洗顔やスキンケアの際の摩擦が刺激になっていると思われます」と説明します。
洗い過ぎは悪化の原因 ごしごしNG
肌の調子が悪いのは、メークや汚れを落とし切れていないから―。そう思ってきちょうめんな性格の人ほど熱心に洗顔し、症状を悪化させるようです。「厳密に言えば、どんなに一生懸命に洗っても汚れというのは完璧には落とせないもの。神経質になってこすることの弊害の方が大きい」と強調します。 そのため、身原院長は治療と並行し「こすらないスキンケア指導」に力を入れています。 まず洗顔。洗浄剤の主成分は界面活性剤です。「皮膚汚れに多い油性成分は触れるだけで浮き上がる。指でごしごし、くるくるする必要はない」と助言します。お薦めの洗顔料のタイプは肌の上でのびやすいジェルや泡タイプ。メーク落としと洗顔が1本で済むタイプなら、さらに摩擦の回数を減らせます。