【2024年問題】業界の今…バス運転手の一日に密着 拘束時間は約13時間、休憩は約5時間 “市民の足”路線バスの便数維持には30人ほど足りず
上司は―。 アルピコ交通 長野営業所・植松誠所長: 「非常にやる気をもって取り組んでいてくれて、お客さまからお褒めのメールとか電話をもらうことも。これからの成長も期待できる若者だなと思っています」
■拘束時間は約13時間 休憩は約5時間
午前10時、約2時間の運行を終え、営業所に戻った豊田さん。 洗車と給油をして午前の仕事はこれで終わりです。 豊田千裕さん: 「午前は終わりになります。次はお昼ごろに出発になります」
2時間半ほどの休憩時間。仮眠や昼食に当てます。 路線バスは、朝と夕方便数が多く運転手の拘束時間は長くなりがち。休憩はしっかりとらなければなりません。
午後の1本目は、営業所から浅川や若槻の団地を通る「若槻団地線」。 日中、乗客は多くはありません。 約1時間運転し、車庫で休憩です。
近くに休憩室がありますが、豊田さんは普段、バスの中で休息。1歳4カ月の長男の動画を見ます。 豊田千裕さん: 「愛しいですね」 携帯で動画を見たり趣味の読書をしたり。この日の拘束時間は約13時間。そのうち休憩時間は約5時間でした。 豊田千裕さん: 「ゆっくり携帯をいじったり、本を読んだり、自分と向き合う時間になります。個人的には拘束時間が長い中でも充実した時間がつくれる部分なので、これについては一概に悪いとは言えません」
休憩が終わり、発車時刻に―。 アルピコ交通 バス運転手・豊田千裕さん: 「お待たせいたしました、発車します」 通院で利用(80代): 「バスなくちゃ困るよ。もう自動車やめちゃったからね。バスがあるから、おかげさまで」 善光寺に近づくと多くの客が乗車―。
■便数維持には30人ほど足りず
「市民の足」として欠かせない路線バス。しかし、業界は深刻な運転手不足となっています。運転手の長時間労働を防ぐため、2024年4月、時間外労働を年960時間までなどとする規制がスタート。この影響で以前から続く人手不足に拍車がかかる、いわゆる「2024年問題」が起きています。 29路線を運行する長野営業所の運転手は約150人。1人当たりの労働時間がこれまでよりも減るため、便数を維持するには30人ほど足りないということです。