「まぶた欠損」で生まれた1歳息子をYouTube配信する両親の決断
■「使えるものは使ったらいいじゃん」 現に、障がいのある子の日常を発信する親は少なくない。パリコレクションの舞台に立った19歳のダウン症のモデル・菜桜さんや、背骨が湾曲する側弯症を患い、その矯正手術によって胸から下がまひしてしまった7歳のりおなさんなど、SNSやYouTubeでファンを獲得し、メディアにも多く取り上げられる人気者も出てきている。 障がいの有無を抜きにしても魅力的な彼女たちが、人々から支持される姿に勇気をもらう人も多いだろう。しかし、「親が子を売りものにしている」「本当に本人がやりたくて発信しているのか」というようにバッシングする人もいるのが現実だ。
「使えるものは使ったらいいじゃんと思うんですよね」。孝輔さんは言う。 「おもちくんには将来自立してもらいたい。YouTubeはその足掛かりになればと思って始めました。親子3人でずっと家の中に引きこもって、ひっそり生きていこうと思えばできます。でも、隠していても何のメリットもない。むしろ、家ではたくさん愛されてハッピーだったのに、将来進学したときなどにいきなり世間の厳しい目に晒されるほうがダメージは大きい。小さい頃から皆さんに見ていただいて、『人と違うからいいんだぞ』と伝えていきたいんです」(孝輔さん)
そう考えるようになったのは、作家の乙武洋匡氏の存在が大きいと話す。 「乙武さんが街を歩いていて、『うわあ』と言う人ってあまりいないですよね。『あ、あの有名な乙武さんだ!』ってなると思うんです。将来、おもちくんも可哀想な人ではなく『おもちくんだ!』と思われてほしい。有名になることで可能性が広がると思っています」(孝輔さん) すでにたくさんのファンがいる未来くんだが、これから心ないことを言う人もいるだろう。それでも、「そういう人は、きっとリアルでもひどい言葉を投げかけてくる人。それだったら、アンチを恐れるよりも、発信し続けて仲間を増やしていったほうがいいと僕は思う」(孝輔さん)。