「まぶた欠損」で生まれた1歳息子をYouTube配信する両親の決断
「当たり前のようにやっていたことがここまで驚かれるとは想像していませんでした」。そう笑うしほさんに頼もしさを覚えるが、この境地に達するまでには、もちろん多くの不安や葛藤があった。 「もともと、ものすごくネガティブなんです。後ろ向きというよりは、前に進むためのネガティブというか……。わからないことが怖いので、不安要素を取り除きたいから、とにかく悪いことはすべて考えたり調べたりしておくんです。お腹の中にいたおもちくんに異常が見つかったときもそうでした」(しほさん)
■オンリーワンの子が来てくれた! 異常が見つかったのは、妊娠22週で行った中期スクリーニング検査のときだった。そして24週で大学病院に転院。医師から告げられたのは、耳慣れない症状だった。 「頭部を上から見た際に頭蓋骨がレモン型に変形している」「個人差と言えないレベルに目が離れている」「鼻の骨が短い」「下顎がすごく小さい」 しかし、医師にもそうなっている原因はわからない。エコーで見る限り、見た目の異常以外は元気に育っているとのことでホッとしつつも、しほさんは症状から推定される病気をインターネットで鬼のように検索しては不安を募らせていった。
しかしそのとき、父親の孝輔さん(27歳)はこう思っていた。 「オンリーワンの子が来てくれた!」 その意味をこう話す。 「大抵の人が『自分の個性って何だろう』と迷うことが多いですよね。でもおもちくんは、もともとものすごい個性を持っているんです。それって強いな、と。生まれる前からそう思っていたけれど、YouTube配信を始めてからよりそう思うようになりました。 動画では、ただただ幸せな日常を流しているだけ。それをたくさんの方が見てくれます。幸せに生きているだけで感動を与えられる。これっておもちくんだからできること。周りの子と比べてしまえば、できないこともたくさんあるだろうけれど、将来、『俺ってアドバンテージあるやん!』って考えてくれたらいいなと思っています」