トランプ氏の貿易戦争に備える日本株投資家、内需系銘柄の好調が暗示
(ブルームバーグ): 株式投資家は来年1月に就任するトランプ次期米大統領が今後引き起こすと予想される貿易戦争から早くも身を守ろうとしており、最近の日本株市場でも内需関連株のパフォーマンスが輸出関連株を上回っている。
米大統領選があった11月5日以降、TOPIX500の構成企業で日本国内の収益依存度が高い時価総額上位20銘柄の株価は平均で1.2%上昇。海外依存度が高い20社が4.3%下落しているのとは対照的だ。
内需企業群には衣料品の電子商取引を展開するZOZOや東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド、ゆうちょ銀行などが含まれ、輸出企業群は大手自動車メーカーのホンダや半導体製造装置の東京エレクトロンなどとなっている。
円相場は11月中旬に対ドルで一時156円台と7月以来の水準まで下げたが、1カ月以上にわたり輸出企業群の株価は円安の恩恵をほぼ受けていない。モルガン・スタンレーMUFG証券の中沢翔ストラテジストは2025年の日本株予想レポートで、トランプ関税への懸念が既に重くのしかかっていることを意味していると指摘した。
日本の内需企業株は過去にも米国の保護主義的な通商政策に耐性を見せた実績がある。トランプ第1期政権時の18年に中国やその他の国々に対し関税を発動した際のパフォーマンスは、中国や米国へのエクスポージャーが高い株式を上回った。
モルガンMUFGによると、トランプ氏が中国ハイテク製品への調査を発表した17年8月から米中が関税の一時停止で合意した18年12月まで日本の内需企業株は7%上昇。これに対し中国関連株は10%下げ、米国関連株は1.3%の上げにとどまった。
米国の関税導入を巡る不確実性を理由に、中沢氏は投資家に対し「外的リスク」を回避する一方、「内的成長」に焦点を当てることを推奨している。内的成長に合致するセクターは小売や金融、建設、防衛などだ。
半面、電機や精密機器など中国へのエクスポージャーが高いハイテクセクターには「収益の下振れリスクに一段の配意が必要」と中沢氏は指摘。実際、東エレクやKOKUSAI ELECTRICなど半導体製造装置株は、トランプ氏が中国からの全輸入品に10%の追加関税を課す計画を発表した11月26日に下げた。