「洋楽離れ」は本当に起きている? YouTubeの再生回数チャートから読み解く
先述した通り、この時期はイギリスの人気ロックバンド・Oasisが再結成を発表した時期でもあります。再結成が明らかになったのは2024年8月27日でした。 この時期にはYouTubeでも、Oasisの楽曲の再生回数が上昇。地域別に見るとロンドン、バンコクなどで上位となりました。 しかし、8月30日~9月5日のYouTubeチャート(韓国)ではOasisの「Don’t Look Back In Anger」が76位にランクインしているのみ。なお日本ではOasisの楽曲は100位までにランクインしていません。
8月30日~9月5日のYouTubeチャートでは、Oasisの楽曲はイギリスでは「Wonderwall」をはじめとする人気曲が上位にランクイン。一方で同じヨーロッパでも非英語圏であるフランス、ドイツなどでは楽曲はランクインしていません。 つまり少なくともYouTubeのデータを基に、あえてドライな見方をするとOasisの再結成で盛り上がっているのは「英国だけ」であるようにも見えます(※ビルボードなど他チャートでは別の傾向が見える可能性はあります)。 ■Oasisの楽曲は日本のYouTubeでどれくらい聴かれている? もう少し長いスパンのデータも、見てみましょう。 日本のYouTubeチャートによると、Oasisは2023年9月4日~2024年9月4日の365日間で1,740万回再生されています。なおグローバルでは、上記期間中に5億3,500万回再生されています。
この数値は大きいのでしょうか、それとも小さいのでしょうか。同期間における、日本や韓国のアーティストと再生回数を比較してみましょう。同期間での再生回数の例を4組分、ご紹介します。 ・LE SSERAFIM:同期間で2億2,500万回再生 ・King Gnu:同期間で4億300万回再生 ・スピッツ:同期間で1億5,100万回再生 ・モーニング娘。:同期間で6,510万回再生 「国内のYouTubeでの再生回数」及び「8月27日の再結成発表後の日本のYouTubeチャート」をベースにすると、Oasisは「グローバルでの数値は大きいものの、国内での人気は決して高くはない」と残念ながら言えるかもしれません。 ■日本以外の国でも「アメリカ」「イギリス」と共通するチャート上位曲が減少傾向 国内で「洋楽離れ」が進んでいることは間違いないありませんが、韓国のチャートでもアメリカやイギリスのアーティストが上位進出しているわけではないようです。 また、たとえばインドネシアのチャートでもLady Gaga & ブルーノ・マーズの「Die With A Smile」が上位にランクインしているものの、それ以外はインドネシア国内の人気アーティストが上位。 つまり「アジアではアジアの音楽が聴かれ、英語圏では英語圏の音楽が聴かれている」のが現状と言えるのではないでしょうか。これまで「音楽」の発信は欧米やラテンが中心でしたが、そうした文化圏に次ぐか、追いこす勢いでアジアも「音楽の文化圏」になりつつあるのかもしれません。 良い見方をすると、アジアの国々は音楽を「輸入」する必要がないほど文化が成熟したと言えるでしょう。一方でザ・ビートルズやマイケル・ジャクソンの楽曲のような世界的ヒットは明らかに生まれにくくなっているとも言え、同じ音楽を世界中の人が楽しむ光景は段々と見られなくなっていくのかもしれません。
オトナライフ