「緑内障」の原因・なりやすい年齢層はご存じですか? 早期発見のポイントや治療法も医師が解説!
緑内障は失明にもつながる疾患であり、早期発見と治療が重要です。緑内障の治療法はいくつかあり、そのなかでも比較的新しい治療に「レーザー治療」があります。今回は、緑内障のレーザー治療の効果や手術の流れなどについて、「稲毛海岸やすだ眼科」の安田先生に解説していただきました。 【イラスト解説】「老眼」を疑う初期症状5選 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
緑内障とは?
編集部: まず、緑内障について教えてください。 安田先生: 緑内障は、何らかの原因で視神経が障害され、視野(見える範囲)が狭くなる疾患です。眼圧の上昇がその病因の1つと言われており、ほとんどの場合、自覚症状がなく進行します。 編集部: なぜ、眼圧が高くなるのですか? 安田先生: 眼圧に影響を与える目の中の水(房水)の流れが悪くなり、眼外に排出されにくくになってしまうためです。緑内障による視神経障害や視野異常は、基本的には年単位でゆっくり進行します。しかし、稀ですが「急性緑内障発作」という、眼圧が急激に上昇することで2~3日で急激に失明へ至るケースがあります。代表的な症状は、目の痛みや見えにくさのほか、頭痛や吐き気・嘔吐などで、目の疾患とわかりにくいことも多いので注意が必要です。 編集部: 緑内障になる人は多いのですか? 安田先生: 緑内障は、白内障と並んで中高年の代表的な目の疾患で「40歳以上で5%、60歳以上では10%以上が緑内障」というデータもあるほどです。残念ながら日本の失明原因1位となっています。ただ、患者さん全体で考えると失明率はかなり低く、早期発見して適切に治療すれば、生涯にわたって視野と視力を保てると言われています。
緑内障の治療法
編集部: 緑内障と診断されたら、どうしたらいいですか? 安田先生: 緑内障は高くなった眼圧により、視神経が障害される疾患です。一度障害された視神経を元に戻すことはできないので、治療の主な目標は「眼圧を下げて、視野障害進行を食い止めること」になります。 編集部: 具体的に、どのような治療があるのでしょうか? 安田先生: まず、眼圧を下げるための目薬が処方されます。通常は1種類の目薬で様子を見て、効果がなければ2~3種類使用します。点眼治療で眼圧が下がらず緑内障が進行する場合は、手術が検討されます。また、目薬の効果があったとしても、体質によっては結膜炎、上眼瞼のくぼみ、瞼の腫れなどの副作用が起こり、治療が継続できないこともあります。加えて、喘息・不整脈・慢性閉塞性肺疾患などの全身疾患がある人は、一部の緑内障点眼薬の使用によって原病が悪化してしまうことがあるので注意が必要です。その際は、別の治療法(レーザー手術や外科的手術)を検討しなければなりません。 編集部: どんな手術があるのですか? 安田先生: 初期~中期の視野障害がある緑内障には、「線維柱帯切開術」と呼ばれる房水の流出路である線維柱帯を切開して房水を流れやすくして、眼圧を下げる手術が主に選択されます。ほかにも、白内障手術と同時におこなう手術として、医療用チタンを埋め込んで房水排出を促進させる「水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術」という方法もあります。中期から後期の進行した緑内障には、線維柱帯切除術やインプラントを眼内に挿入して、房水を眼外に濾過する方法で対処します。