BE:FIRST、オーロラ、新しい学校のリーダーズなどが躍動 サマーソニック総括レポート【東京DAY2】
AJR、BE:FIRST、Aurora、Hoobastank
AJR 17:35〈SONIC〉 来日直前にメット3兄弟の長男、アダム(ベース他を担当)が「民主党全国大会に出席するためサマソニには不参加」とアナウンスされたAJR。しかしジャック、ライアンとサポート2名という編成で、穴を感じさせない全力のパフォーマンスを見せつけてくれた。街頭ライブから始まったグループだけあって、観客を飽きさせない仕掛けの多さは随一。2曲目の「Sober Up」(ウィーザーのリヴァース・クオモと共作)で早くも大合唱を巻き起こすと、続けざまにジャックがサンプラーをリアルタイムで叩くコーナーに突入、観客の心を序盤でガッチリつかむ。18年前の街頭ライヴ時代を振り返って、当時歌っていたスマッシュ・マウス「All Star」をカバーする一幕も。最大のヒット曲「Bang!」の前にはこの曲の組み方を解説する念の入りようだ。そしてラストの「Weak」ではスクリーンいっぱいに花火が上がって大団円。叩き上げの底力に唸らされた。(荒野政寿) BE:FIRST 20:00〈MOUNTAIN〉 開始5分前になり、舞台裏から「BF is…」を歌うメンバーの声が聴こえてくると、すでにオーディエンスはハンズアップ。様々なファッション、年代の人がMOUNTAIN STAGEに集い、今か今かとBE:FIRSTの登場を待つ。 「Mainstream」と共に現れた7人は、姿を見せた時点で凛としたオーラをまとっていた。いうならば、ドームアーティストの風格。わかりやすく盛り上がるナンバーではなく、自分自身を定義し証明する楽曲を1曲目に持ってくるのも、自信の表れといっていいだろう。オープニングアクトとして出演した『SUMMER SONIC 2021』から、わずか3年。BE:FIRSTはMOUNTAIN STAGEのトリで、堂々と自分たちのカラーを誇示するまでになったのだ。 セットリストも、まるでワンマンライブをギュッと凝縮したような選曲だった。グループのカラーを打ち出し、会場一体となるライブチューンで盛り上げ、バラードもしっかり聴かせる。「Spin!」や「Softly」といったユニット曲も盛り込み、BE:FIRSTが7人以外のスタイルを持っていることも軽やかに提示する。そしてラストには、BE:FIRSTにとって“到達”の1曲である「Blissful」を初披露。彼らの未来に期待せざるをえない、BE:FIRSTがなんたるかを魅せつけた圧巻のライブだった。(坂井彩花) Aurora 20:20〈SONIC〉 個人的には、これまでに観た彼女のライブ中のベスト。本当に素晴らしかったオーロラ。果てしなくディープな没入感と多幸感で酔わせてくれた。もともと宗教的な要素は多分に感じられたが、北欧エキゾシズムとでも呼びたい白銀世界の美しさ、祈りを捧げるかのような儀式感、心の奥底のさまざまな感情を剥き出しにする神秘的な歌で、ぐいぐい惹きつけ感情を揺さぶられた。“日本の皆さんのおかげで人気の出た曲だと思います”という紹介で始まった「Cure For Me」をはじめ、彼女自身が踊る曲も多く、さまざまな動きを取り入れ、以前よりダンサーとしての魅力も倍増。さらに踊る彼女の後方に、事前に撮影されたアーティスティックなダンス映像などが映し出され、そのシンクロ具合が秀逸だ。時にシュールに、時にナイフを振り上げイタリアンホラーのように恐ろしい彼女が登場する。すべてが喜怒哀楽の一部というわけだ。その感情を抉り出すパワーとエキセントリックな表現力に恐れ入る。 だが、その一方で曲間になると“準備はいいですか?”、“ずっと立っているの大変でしょ。みんなでストレッチしましょ”などと愛らしい日本語で話しかける、そのギャップにクラクラ……。戦地の子どもたちに曲を捧げたり、LGBTQの人々に温かいメッセージを発し、“バイセクシュアルの人々!”と言いながら自身もピースサインを出してニッコリ。”ありのままの自分を思いっきり表現しましょ”という彼女の言葉が、ことさら胸に響いたが、その言葉通りに生きているのがオーロラであり、その中から生み出されたのがオーロラの音楽なのだと痛感させられた。ステージが終わっても、いつまでも帰ろうとしない人が多かったのも当然という気がした。(村上ひさし) Hoobastank 20:35〈BEACH〉 ブリング・ミー・ザ・ホライズンが終わってから大勢の観客が駆けつけたのだろう。気づけば、いっぱいになっていたBEACH STAGEでフーバスタンクは2ndアルバム『THE REASON』のリリース20周年を記念して、同アルバムの全曲を披露。「Same Direction」をはじめ、00年代型ハードロックの神髄を今一度見せつけながら、ライブの盛り上がりは珠玉のバラード「The Reason」のシンガロングとともに頂点に。しかし、バラードでライブを終えるわけにはいかないと考えたのか、「Keep on playing music!」とアンコール的にさらに曲を披露。最後を飾った「Crawling in the dark」のメタリックなサウンドにロックバンドとしての彼らの矜持を見せつけられた。(山口智男) ※ブリング・ミー・ザ・ホライズン(ヘッドライナー)のレポートはRolling Stone JapanのWEBに掲載中
Rolling Stone Japan 編集部