BE:FIRST、オーロラ、新しい学校のリーダーズなどが躍動 サマーソニック総括レポート【東京DAY2】
BMSG POSSE、Greta Van Fleet、Olivia Dean、BABYMONSTER、Christina Aguilera
BMSG POSSE 15:35〈PACIFIC〉 ステージ上で無邪気に音楽と遊ぶBMSG POSSEは、希望の光と称してもいいのではないだろうか。少なくともPACIFIC STAGEに居合わせた人たちには、その感覚をわかってもらえるに違いない。ひとつのセットリストに、クルーもソロもフリースタイルもコラボレーションも濃縮。単独でも眩いアーティシズムは、掛け合わされることで新たな煌めきを発揮する。ただでさえ個性的なフロウやワードセンス、声色などの独自性が、ひとつのまとまりとして観ることで、より浮き彫りなっていくのだ。だからといって、お互いを相殺しあうことは決してない。自分らしさを放ちながら、相手の良さも尊重する音楽がBMSG POSSEには鳴っている。そして、その音楽がサマーソニックに足を運んだ人々の心を躍らせている。このリアルは、希望と呼ぶほかないだろう。まさに最高の現実だった。(坂井彩花) Greta Van Fleet 16:00〈MARINE〉 メンバー全員の濃ゆい端正な顔も魅力のグレタ・ヴァン・フリートは、ジョシュ・キスカ(Vo)のハイトーンボイスを武器に70s調のハードロックとともに中世をモチーフにしたと思しき世界観を見せつけていった。水分を摂る時もペットボトルではなく、銀の盃を使う徹底ぶりに感服。50分で全7曲。トラッドフォークをハードロック化した「Meeting The Master」「The Archer」のようなじっくりと聴かせる曲を臆することなくフェスのセットリストに加えるところが頼もしい。最後はブギなハードロック・ナンバー「Highway Tune」をぶっ放すと、ジョシュが白い花を客席に投げ入れ、指笛を鳴らして締めくくる。そんなキザな演出も見事にハマっていた。(山口智男) Olivia Dean 16:20〈SONIC〉 エイミー・ワインハウスやアデルも通ったブリット・スクール出身、デビュー作『Messy』が全英4位を記録した気鋭シンガーが初来日。“ローリン”というミドルネームを持つ彼女は、親の影響でネオ・ソウルを幼少時から聴いて育った99年生まれ。『Messy』にはアクアラング名義の活動で知られるマット・ヘイルズが共作相手/プロデューサーとして参加、端正にまとめていた。一方、ライブは3管のホーン隊を含む7人編成のバンドがバックを担当。アルバムよりヴィンテージ・ソウル感が強い演奏は、レンジの広い歌声がよく映える。デビュー作からタイトル曲を歌う際には、「アルバム全体を通して、不完全さを許容することがテーマだった」と説明。ガイアナからの移民である祖母について歌った「Carmen」でも、歌詞に込めた想いを語って観客と共有する。そうした人柄が、丁寧で包容力のある歌唱に直結している印象。胸に迫る名曲「Dive」の可憐さが余韻として残った。(荒野政寿) BABYMONSTER 17:20〈MOUNTAIN〉 「BLACKPINKを擁するYGエンターテインメントから、およそ7年ぶりにデビューを果たしたガールズグループ」というだけあって、MOUNTAIN STAGEはパンパン。女性ファン多めのフロアからは、イントロが鳴り始めるたびに悲鳴のような歓声が上がりまくっている。各メンバーのパワフルな歌唱力を活かした「SHEESH」、YGならではのケレン味がたっぷり入った「BATTER UP」などダンサブルなナンバーを、7人編成という強みを活かしたシステマティックかつダイナミックなダンスで表現。かと思えば「Stuck In The Middle」のようなバラードも、情感たっぷりに歌い上げ振り幅の広さもしっかりと示す。セトリ後半は同じ曲のダンスリミックスや日本語バージョンが並ぶなどレパートリーはまだ少ないものの、ポテンシャルの大きさを十分にアピールした40分だった。(黒田隆憲) Christina Aguilera 17:25〈MARINE〉 いい意味で縦横無尽に歌い散らかすスタイルは、この人を置いて右に出る者はいないだろう。とことん豪快に、派手に歌い倒したクリスティーナ・アギレラ。バックの音もそうとう煌びやかだが、決して埋もれないスタミナ溢れる歌力で震撼させた。来日公演は17年ぶり。1stアルバム『Christina Aguilera』と大ヒット曲「Genie In A Bottle」のリリースから25年目にあたり、初期ヒットもたっぷり披露された。自身も出演した映画『バーレスク』のセクション、映画『ムーラン・ルージュ』の主題歌「Lady Marmalade」、多数のダンサーを引き連れたパフォーマンスなど、全て彼女が最近行っているラスベガスでのレジデンス公演へと繋がっている。もちろんコスチュームやメイクも、完璧なショーガール仕様で、ディーバ、アイコン、Xティーナと呼びたくなるが、同時にMCでは子どもの頃に日本に住んでいた話をしたり、ラストに娘も登場させ、レインボーカラーを掲げてLGBTQアライをサポートしたり。人間味溢れる一面も覗かせた。(村上ひさし)