ある時期、親や友人と「疎遠」になることも必要――小泉孝太郎が考える人間関係で大切なこと
若い頃は交換日記もしていた――小泉流“書き出す”ことのススメ
――小泉さんが人付き合いにおいて心がけていることを教えてください。 小泉孝太郎: 仕事でもプライベートでも、人とはフルオープンでぶつかるようにしています。自分をよく見せようと八方美人になってしまうと、嫌われたり否定されたりするのが怖くなり、斜に構えてしまって、良い結果にはつながらない。 逆に、カッコつけずに本当の自分をさらけ出せる人が1人いるだけでも、気持ちがぐっとラクになります。思い切って自分を出して、恐れずにぶつかってみることで、その人との関係をもう一歩先のステージへ進められるように思います。 ――心を開くのが苦手な人に、おすすめの方法はありますか? 小泉孝太郎: 日常生活の些細なことから、「私はこれがいい」「私はこう思う」と素直に気持ちを出す練習をするといいかもしれません。僕自身は、やりたいことや1日を終えて感じたことをノートに書いてみると、自分の考えがハッキリしてきます。今、会いたい人を書き出してみるのもおすすめです。それで出てくる心から会いたい人って、きっと数人じゃないかな。それがわかると「人付き合いで無理してたんだな」と気づけるし、自分らしい人間関係を作っていけるきっかけにもなると思います。 僕も、これまで「自分はどうしたいんだろう?」「自分が求められていることってなんだろう?」と考えては書き出してきました。笑われるかもしれないけど、若い頃はよく交換日記もしていました(笑)。撮影現場で会った人にちょっとしたメッセージを書いてもらって、自分も書いてを繰り返したり、飲食店の店員さんに「なんでもいいので書いてください」とお願いしたりしたこともあります。でも、そうやって文字にすることで、自分はこう思っているんだな、と自分の素直な気持ちをハッキリさせることができました。 人間関係で悩んでいる人の多くが、「これが好き」っていう素直な感情を押し殺してしまっているように感じます。それは仕事や趣味についても、人についても同じじゃないかな。僕だったら、芸能界での仕事が好きだし、ムロさんが好きだし、地元の親友や後輩が好き。恥ずかしくても、親や友人、恋人に「あなたと過ごす時間が好きだ」と伝えられることが肝心じゃないかと思います。輝いている人っていうのは、素直なことが多くないですか。それを自分で押し殺してしまうのは、すごくもったいないですから。 ――人付き合いに悩まず、自分らしく生きるには何が重要だと思いますか? 小泉孝太郎: 「足るを知る」という言葉がありますよね。これってすごく素敵な言葉だと思うんです。もっともっと、ではなくて、自分はこれだけでいい。クローゼットの洋服や冷蔵庫の食材と同じで、人間関係にしても、もう十分だと。そう気づくことって大事じゃないですか。 僕がSNSをやらないのも、もう十分だと自分でわかっているからです。もちろん、SNSは使える人にとっては素敵なツールだと思います。ただ僕にとっては、会いたい人や話したい人に連絡して「ちょっと話したいんだけど、いつ会える?」と言えれば、それで十分。SNSを使うと、あらゆる方向からコメントなどがくるわけじゃないですか。それに無理に応えようとしたら、自分が壊れてしまうと思います。だからストレスになるものは省いて、目の前の人間関係だけの人生にしようと。僕の場合は、枝葉のように伸びていくつながりは求めてなくて、“僕と君”という目の前の景色だけでいいんです。 ----- 小泉孝太郎 1978年、神奈川県生まれ。父は元内閣総理大臣の小泉純一郎氏。2001年に芸能界入りし、2002年テレビドラマ「初体験」で俳優デビュー。以降、数々のドラマ、映画に出演するだけでなく、バラエティー番組、情報番組のMCとしても活躍。 文:市川茜 制作協力:BitStar