期待に応えられず…。欧州、今季ガッカリの名将(2)大失敗…。大型補強むなしく屈辱の無冠
これまで数々の実績を残してきた「名将」であっても、新天地で期待されているような成績を残すことは保証されていない。佳境を迎えている2023/24シーズンも様々な理由から多くの監督が苦戦を強いられている。今回は、今季ガッカリな成績に終わった名将をピックアップして紹介する(成績は5月13日時点)。
トーマス・トゥヘル(バイエルン・ミュンヘン) 生年月日:1973年8月29日 今季リーグ戦成績:33試合23勝3分7敗(2位) UEFAチャンピオンズリーグ(CL)ベスト4とリーグ戦2位の成績はチームによっては大成功のシーズンを収めたと言える。しかし、常勝軍団バイエルン・ミュンヘンにおいてこの成績は失敗と見なされる。結果的にトーマス・トゥヘルは12シーズンぶりにバイエルンを無冠に終わらせた監督として今夏にクラブを離れることになる。 そもそも今季のバイエルンは「成功」が必須のシーズンだった。昨夏にイングランド代表FWハリー・ケインや韓国代表DFキム・ミンジェらの大型補強を行い、クラブ史上初めて1億ユーロ(約140億円)以上の移籍金を投じた。特に前者はクラブ史上最高額の9500万ユーロ(約133億円)の移籍金に相応しい活躍を披露。公式戦45試合で44得点12アシストと、一昨夏に退団したロベルト・レヴァンドフスキの穴を1年越しに埋めてみせた。 なぜ、エース候補が期待以上の活躍を披露しながら無冠に終わってしまったのか。リーグ戦に関しては優勝したレヴァークーゼンが圧倒的な強さを誇ったのもあるが、戦い方が不安定だったのは間違いない。トゥヘルはチェルシーをUEFAチャンピオンズリーグ(CL)優勝に導いた時に守備を立て直して成功を収めたが、バイエルンでは攻撃に重きを置きすぎたのか、攻守のバランスが不安定だった。 特にチームとしてハイラインのリスク管理がずさんで、あっさりと背後を取られて失点するというシーンもしばしば。この状況でCBの既存戦力が軒並み不調だったのは痛恨で、ダヨ・ウパメカノとマタイス・デ・リフトは怪我と復帰を繰り返し、依存度が高くなったキム・ミンジェは次第にパフォーマンスが落ちた。その結果、2024年のリーグ戦で無失点に抑えることができたのはたったの3試合しかなく、失点が増えたことで必然的に勝ち点を落とした。
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