中学国語で点を取る「読解」のコツとは?「環境問題や多様性」が注目テーマ、押さえておきたい作者や推薦図書も紹介
中学入試に挑戦するなら、説明的文章にも触れておく
読書について、中学受験をしないなら「小学生のうちは文学的文章だけ読めばよい」と内藤氏。中学受験を視野に入れている場合は「小4までは文学的文章を中心に、小5以降は説明的文章も読み始めたいものです。夏休み中に2冊読破を目標にするといいでしょう」と語る。説明的文章は具体的に、ちくまプリマー新書、角川ソフィア文庫、岩波ジュニア新書、講談社ブルーバックスの書籍などがおすすめだそうだ。 「文学的文章と説明的文章の両方を好む子はなかなかいません。文学的文章、いわゆる読書が好きな子は、実は説明的文章もきちんと読めるのですが苦手意識があるようです。反対に、ロジカルなことが好きな子は説明的文章を好み、文学的文章は苦手な様子がうかがえます。算数で高得点を取る子は、恋愛ものなどの文学的文章を読んでもわりと反応が薄いようです」 かつて新潟大学の小久保美子教授が、MRIに入った学生の被験者に説明的文章・文学的文章を読ませた場合に、脳のどの部分が反応するかを研究した。その結果、説明的文章と文学的文章ではそれぞれ異なる部分が活性化したという。 「長年子どもたちを見て実感していた通りでした。一方の文章に脳を使い過ぎると、疲れてしまい、苦手なタイプの文章を読む気をなくしてしまいます。例えば、上半身ばかり鍛えたら、下半身を使う運動は練習量が減りますよね。今の子どもたちは非常に忙しいので、限られた時間の中で異なるタイプの文章を薦められても読む気になれないのは理解できます」 とはいえ、文学的文章だけでなく説明的文章が読めると将来必ず役立つと内藤氏は強調する。「大学受験の評論文対策として非常に効果的ですし、社会に出てから触れる文章は圧倒的に説明的文章が多いので、読めるようになることは重要です」 夏休みは親子で多くの本に触れ合う絶好のチャンスだ。「子どもがいくつになっても、読み聞かせをおすすめします。子どもが興味を引くように本のあらすじを紹介する“ブックトーク”も取り入れてほしいですね。よい本に触れると言葉が磨かれ豊かになり、キレにくい子に育ちますし、何より子どもの思考力が高まりますから」。 (文:せきねみき、注記のない写真:Hakase / PIXTA)
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