数日間、1枠4人までの貴重なパフェ。「KUNON Baking Factory」(南砂町)のここだけの“美味しさとテーマ”があるスイーツとは?
27歳での転身。「来てもらうには、魅力あるものを作るしかない」
今は焼き菓子とパフェの作り手として多くの人を笑顔にしている久野さん。でもじつは、27歳までは保育士として働いていたのだそう。どんな経緯でお菓子の世界に入り、今のスタイルとなったのでしょうか? 「手に職をつけたい、と思ったのがきっかけです。それで、パティスリーで働きながら専門学校に行く生活を始めました。独立したのは、専門学校を卒業して、パティスリーでさらに経験を積んでからでしたね。はじめに焼き菓子を選んだのは、生菓子だとロスが出やすいのが要因です。1人で製造するとなるとロスのダメージが大きいので、日持ちがする焼き菓子を極められたら、と考えました。店内のイートインスペースパフェの提供を始めたのは出産の復帰後からで、正式には今年(2024年)からです。パフェはその時期の素材に合わせて構成や組み合わせを変化させないといけないので、『よい経験になるな』と。もともと工房だったお店を飲食店として許可をとって、試験的な取り組みとしてスタートしました。ただ、この地域は観光スポットがそこまであるわけでもないので、お店に足を運ぶお客さんはこの店のスイーツを目的に来ることになるんですよね。『せっかく来てくれたお客さんの満足度を上げるにはどうしたらいいのだろう? 』と考えた末に、私にしか作れないものを作りたいな、と思ったんです。それで、出身地である静岡県の素材にこだわったり、ストーリー性を楽しんでもらえるように、パフェに裏テーマを設けたり…。キャロットケーキをパフェにした『キャロットケーキなパフェ』を提供したこともあります。始めたてのころはお客さんがこんなにパフェを求めてくださると思っていなかったので、驚きましたね。でも今は美味しいパフェも、スパイスを使ったパフェもいくらでもあるじゃないですか。私は遅くにこの世界に入ったので、経験も“有名店出身”といったブランド力もなくて。だから、お客さんに選んでもらうためにとにかくいろんなことを考え抜かないと、と思っています」
何度でも、ここを目的に来たくなるお店
取材の最後、「お店のお客さんの中には、パフェを食べて『静岡に行きたくなった』と言ってくださる人もいて。自分のお菓子が誰かのアクションにつながっているなら、嬉しいですね」と笑顔で話してくれた久野さん。地域や人とのつながり、そして美味しさを追求して作られたパフェは、今も多くの人を笑顔にしています。 About Shop KUNON Baking Factory 東京都江東区北砂4-29-14 営業時間・定休日:完全不定期(Instagramで告知) Instagram:@kunon_baking_factory
ウフ。編集部 磯部美月