「穴口選手の命を無駄にするな」事故検証委員会が報告した結論とは…再発防止の第一歩としてJBCとJPBAが合同で医事講習会を実施
これらの調査結果をふまえ、同委員会は、再発防止策として、マッチメイクや、試合運営、JBC、ジム側の安全管理、事故防止のための研修の必要性など、7つの提言をまとめ、「ルールの見直しを含めた抜本的な防止策を検討することが望まれる」と要望した。 再発防止策として、具体的なものがいくつかあり、無理なマッチメイクが行われる可能性のあるトーナメント大会への出場資格の厳格な精査、ジムに「健康管理責任者」を置くことを義務化して、ライセンスを発行、試合時のセコンド人数を現行の3人から4人に増やして、そのうちの一人を「健康管理責任者」が務め、選手の健康状態を客観的にチェックすることなどが提言された。 その提言を受けて、JBCの安河内剛本部事務局長は、「穴口選手の事故を風化させてはならない。健康管理のサポートを受ける専門機関にアクセスしやすい環境を作ることも必要で、セコンドからのタオル投入などを含めたルールの見直しを早急に進めていきたい」とアクションを起こすことを約束した。 穴口選手の対戦相手だった堤も7日に両国で行われた井岡一翔(志成)の統一戦のセミファイナルで7か月ぶりにリングに復帰し、ウィーラワット・ヌーレ(タイ)を4回TKOで下した。リング上で堤は、「ボクシングをやっている奴らは、みんなそれぞれの思い、人生を背負ってやっている。そういうメンツの中で僕も戦ってここにいるし、これからそういう強い王者たちに挑んでいく。ボクシングを本気でやっている奴らのぶつかり合いは、殴り合いだが人は美しいという感情を抱く。それがボクシングの魅力。その競技を今もこうやって続けられることに感謝して誇りに思う」とのメッセージを伝えた。 また、この日は、ここ最近目に余る体重超過の原因となっている水抜き減量法についての正しい知識を知ってもらおうと、専門家のスポーツトレーナー桑原弘樹氏を招き、講習会が開かれた。桑原氏は、江崎グリコでサプリメントの開発責任者を務めるなどしたトレーニングの専門家で、ボディビルダーとして自らの体で減量についての実験も繰り返し、柔道の全日本クラスの選手や、ボクシングでは元3階級制覇王者で現在大橋ジムでトレーナーを務める八重樫東の減量指導も行ってきた。またトレーナーとしては「桑原塾」という講習会を定期的に開き、現在、阪神タイガースのコンディショニングアドバイザーも務めている。 桑原氏は、水抜きのメカニズムと、その弊害、そして塩抜き、ウォーターローディングなどの具体的な減量方法を指南しながら、「水抜きは健康に悪い危険な行為。決して勧められないが、プロボクシングという規格外の世界で戦う人たちが減量する上では必要悪。何もエビデンスはないが、普段から節制して、まず体脂肪を落として、水抜きに頼るのではなくうまく活用すること」と訴えた。 また水抜きの最中に激しいトレーニングを重ねるなどのやってはならない禁止事項も併せて紹介された。
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