<新風・21センバツ上田西>/上 強力打線で快進撃 12試合で2桁安打、北信越大会準優勝 投手陣整え、聖地に挑む /長野
昨秋の公式戦でチーム打率4割超の強力打線を擁し、初のセンバツ出場を決めた上田西。北信越大会では、近年覇権を握っていた石川県勢を破って堂々の準優勝に輝いた。快進撃を見せた秋の戦いの軌跡を振り返る。【皆川真仁】 秋の県大会3連覇へ向け、東信地区大会に臨んだ上田西。初戦からの3試合で計30得点と持ち前の強打を存分に発揮し、決勝では夏の県大会を制した佐久長聖と対戦。この試合から不振の梅香拓海(2年)に代わって1番に笹原操希(2年)を置き、3番に主将の柳沢樹(2年)、4番に杉浦琉生(2年)と上位打線を固定した。試合は序盤から激しい点の取り合いとなり、19安打を放った上田西が10―9で逃げ切った。 県大会では、東信地区大会の背番号「10」からエースナンバー「1」に変わった山口謙作(2年)が快投を見せた。準々決勝の飯田OIDE長姫戦に先発して8回2安打無失点と圧巻の投球。松商学園戦でも九回途中2失点の好投で、3年連続の北信越大会進出を決めた。決勝では投手陣が崩れて佐久長聖に雪辱され3連覇を逃したが、打線は相手を上回る20安打を放った。 北信越大会に入っても、強力打線の勢いはとどまるところを知らなかった。初戦で福井商(福井)を七回コールドで降すと、昨夏のセンバツ交流試合に出場した日本航空石川(石川)にも14安打10得点で八回コールド勝ち。中でも2試合計8打数7安打を記録した柳沢の打棒が光った。 そして迎えた大一番の星稜(石川)戦。試合前に、吉崎琢朗監督(38)が負傷した大藪知隼(1年)の代役としてキーマンに挙げていた、5番に抜てきされた飛鳥井洸(2年)がチームを救った。 試合は秋の北信越3連覇を目指す星稜ペースで進み、上田西は3点ビハインドで六回裏の攻撃を迎えた。単打2本で走者をため、1死二、三塁で打席には前の打席で公式戦初本塁打を放った飛鳥井。「内が得意なので内に来たら行ってやろう」と2球目の内角球を捉えた打球は左翼スタンドに突き刺さり、起死回生の同点弾となった。八回裏に小川隼弥(1年)の左前適時打で勝ち越すと、最後は山口が3者凡退で締めて完投勝利を飾った。 このまま初優勝をつかみたいところだったが、決勝の敦賀気比(福井)戦では県大会に続き投手陣が崩壊。打線は15安打と意地を見せたが5―16と大敗し、吉崎監督は「力の差を感じたのが率直な感想」と完敗を認めた。 終わってみれば、打線は東信地区大会からの全12試合で2桁安打を記録。強力打線が際立った一方で、投手層の薄さという課題が露呈した。今も練習グラウンドには北信越大会決勝のスコアを再現して、悔しさを忘れないよう日々の鍛錬に励むナイン。140キロを超える速球を持つ堀内琢斗(2年)ら山口に続く投手陣を整備して、聖地に挑みたい。 ……………………………………………………………………………………………………… <東信地区大会> 1回戦 ○11―0 佐久平総合技術(五回コールド) 準々決勝 ○ 9―3 小諸 準決勝 ○10―3 小諸商(八回コールド) 決勝 ○10―9 佐久長聖 <県大会> 1回戦 ○11―3 長野(七回コールド) 準々決勝 ○ 6―0 飯田OIDE長姫 準決勝 ○ 5―2 松商学園 決勝 ● 9―16 佐久長聖 <北信越大会> 1回戦 ○10―1 福井商(七回コールド) 準々決勝 ○10―3 日本航空石川(八回コールド) 準決勝 ○ 5―4 星稜 決勝 ● 5―16 敦賀気比