《奥深いヘビの世界へようこそ》世界の4100種を“ざっくり分類”で解説 食べ物の好き嫌い、糞をため込む小太りヘビ、頸の後ろのフードを広げるコブラは少数派
コブラの仲間には、フードを広げないコブラも
コブラ科は「コブラ亜科」と「ウミヘビ亜科」に大別され、それぞれ200種ほどが知られている。生物学的にはコブラ科に属するすべての種が「コブラ」であるが、一般的に「コブラ」というと、キングコブラのように頸の後ろの「フード」を広げる種をイメージすることが多いようだ。ただし、フードを広げるヘビはコブラ科の中では少数派である。 ちなみに、ここでは便宜的に「頸」と書いたが、厳密には頸と呼ぶ部位はない。「頸」の部分には小さな2つの骨しかなく、外見的には頭部と一体だ。またウミヘビ亜科にはオセアニアの乾燥地帯に棲む陸棲種も含まれる。ヘビの分類では、見た目の差や、陸棲と海棲の違いよりも、「進化において分岐した時代」のほうを重視するため、このような分類になっている。 フードを広げる種ではキングコブラのほかインドコブラ、エジプトコブラなどが知られるが、フードを広げる行為は敵を退散させるための威嚇行動である。捕食行動では獲物に逃げられてしまうため、フードを広げることはない。 フードを広げない種ではアマガサヘビ、サンゴヘビなどがいる。派手なアクションで威嚇してくれば敵も気付いて逃げる余裕があるのだが、これらの種は威嚇行動なしに咬みついてくるのでヒトからすると恐ろしいといえる。 ※ジャパン・スネークセンター『ヘビ学 毒・鱗・脱皮・動きの秘密』を元に一部抜粋して再構成 【PROFILE】 ジャパン・スネークセンター/一般財団法人「日本蛇族学術研究所」が運営するヘビ専門の動物園・研究施設として1965年に開園(群馬県太田市)。毒蛇咬傷の疫学調査や抗毒素(血清)の製造・研究を行なう一方、国内外の貴重なヘビを飼育・展示する。咬まれた際の対処を案内する「毒ヘビ110番」の活動のほか、ヘビの咬傷や逸走(脱走)の際に捜査機関に協力することもある。同センターによる話題の新刊『ヘビ学 毒・鱗・脱皮・動きの秘密』(小学館新書)は4人の研究員(堺淳、森口一、高木優、吉村憲)がそれぞれの得意分野を分担して執筆。